5W1Hの中で特に異彩を放っているのが「なぜ?」という質問です。この質問をするときは、相手に論理的な回答を要求するようなものなので、頭を使わなければなりません。なので、「なぜ?」と聞かれる側は圧迫感を感じます。しかし、使い方によっては、現状を変えられることも可能です。
この記事はこんな人におすすめ
- 今まで取り組んできたことから、新しいことを始めてみたい。
- 問題や課題が発生しているが、解決にいたらない。そもそもどこが問題なのかわからない。
いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どうやって
これが5W1Hの基本ですが、「なぜ」は根本的なところから考える必要がありますね。
思考停止で仕事をしている人は、「なぜ」に注目してみましょう。
↓文章を読み上げてくれます(.WAV)
問題の解決方法を探ったり、新しい発想にたどり着くには、どんな「問い」を立てるかが極めて重要です。このとき有効なのが「なぜ?」という質問です
「なぜ」と聞かれると、誰もが頭をフル回転させて論理的に考えなければならないので、使い方には注意が必要となります。
そうであれば、頭をフル回転させて、論理的に考えたい時には、積極的に「なぜ?」を使っていくといいです。
トヨタ自動車では「なぜを5回繰り返す」を問題解決の基本に置いているという話はよく聞きます。
たとえば、Aさんの席の近くの床にゴミが落ちていたとします。(→は回答)
- なぜ、ここにゴミが落ちているのか→ゴミ箱に捨てたはずの書類です。
- なぜ、書類を捨てたのか→終わった仕事の書類だからです。
- なぜ、終わった仕事の書類を保存せず捨てるのか→それはコピーだからです。
- なぜ、コピーをとったのか→なくすと不安だからです。
- コピーを取って保管して、役に立つのか→今まで必要になったことはありません
- 書類の保管をきちんとすれば、コピーをとる必要はないのではないか。
この場合、ほとんどの場合ゴミを落としてで終わりだと思いますし、そもそも発見した人が誰にも告げずにゴミをゴミ箱に入れて終わることが多いと思います。
しかし、「なぜ?」を5回繰り返すことで、床にゴミが落ちていることを防ぐだけでなく、コピーを取って保管するという無駄な仕事があるという問題を発見し、その解決まで結び付けていくことができます。
NAZE5というラジオ番組があったような・・・
NACK5ですね。
なぜ?と問いかけるのは考える上では効果的ですが、他の仕事も抱えている場合は優先順位をつけてやりましょう。
「なぜ?」は自分に対する質問としても威力を発揮します。物事を根本まで遡って理解しているかどうかを試すときに有効です。
また、当然だと思っていたことでも「なぜ?」と問うことにより、実はまったく理解していなかったということに気づく時があります。自分が偏見で物事を見ていたという事です。
「なぜ、あの商品は売れて、この商品は売れないのか」
「なぜ、今回は契約に至らなかったのか」
「なぜ、うちの部ととなりの部はこんなに意見が食い違うのか」
普段、何気なく通り過ぎているところに、「なぜ?」と切り込んでいくことによって、論理的に考え、重大な発見をすることがあります。
自分に対して、常に積極的に「なぜ?」と問いかけていく習慣をつけることが、問題解決力を養っていきます。
なぜ、スプラトゥーンで勝てないのか。
なぜ、イカがインクを塗るのか。
なぜ、ローラーに触れたら爆散するのか。
なぜ、と問いかけすぎると、思考の泥沼にはまるので、プライベートではほどほどにしておきましょう。
古代ギリシャに、哲学者であるソクラテスがいましたが、彼は議論が得意だったそうです。
当時のギリシャでは、弁論の技術、議論の技術が発達し、それらを教えることによって生計を立てる人がいるくらいです。
その中で、ソクラテスは次々と弁論家たちを論破して歩いたそうです。
そのソクラテスの議論力の秘訣が「質問」にあります。ソクラテスの議論は、質問から成り立っていることが多いです。「嘘は悪か」についての問答です。( →ソクラテスの質問に対しての回答)
- 友人に嘘をつくことは悪か→悪である
- では、病気の友人に薬をのませるためにつく嘘は悪であるか→悪ではない
この質問によって、「嘘をつくことは悪いこと」という主張は崩されます。
質問を相手に投げかけ続けることでも、相手を打ち負かすことができます。
なぜ、質問は、議論にそれほど有効に使えるのでしょうか。
僕も質問を投げかけて、論破しまくるぞー
逆に論破されないように気を付けてくださいね。
というか、論破を目的にしてはダメですね。
裁判では、証人尋問が行われます。
弁護士が質問し、証人が証人席で弁護士の質問に答えます。
この場で、証人は弁護士に議論で勝つことができません。
その理由は、弁護士は「質問をする立場」であり、証人は「こたえるしかない立場」に置かれています。いいかえれば、弁護士は好き放題質問できますし、不利になりそうなら質問を止められます。自分が攻撃されることはありません。
議論とは、自分の主張の正当性を強める理由付けをし、相手の主張の正当性を弱める攻撃を繰り返すプロセスです。その場では、何も言えなくなった時が敗北です。つまり「質問したもの勝ち」「質問に答えられなかったもの敗け」となります。
議論の中で質問は、質問される側の主張の正当性を弱めるために使われます。質問する側は、疑問に思う点を質問として投げかけるだけでいいのです。
そして、質問する立場に立っている限り、相手に攻撃されることはありません。
しかし、答える側は大変です。整合性のある答えをしなければ、さらにするどい質問にさらされます。そのため、一所懸命考えなければならないのです。
その場合、論理的に整合しているのが当たり前であり、ちょっとでも論理的に矛盾が生じれば論理が破綻したとみなされるという、極めて不利な立場にあります。
ここまで書いてもうお気づきかと思いますが、議論では質問する方が圧倒的に有利になります。
もちろんですが、日常生活の中では、こういった一方的に質問をしたりされたりということはないでしょう。
しかし、会話や議論の中では質問を繰り出すことはできます。
「私はこう考えていますが、あなたの考えではこのような場合は、どう考えますか?」というように、自分の立場を表明しつつ、最後に質問で終わることもできます。
「その考えは非常に興味があります。それでは、この場合はどうお考えですか?」というように、相手の考えに興味を示して質問を続けることもできます。
このような方法を使って、できるだけ質問をする立場になって、議論を優位に立つことができます。
「なぜ?」という質問をされたときには、答える場合は論理的に考えるため頭を回転させる必要があります。これを利用して、なぜ?と繰り返し問いかけることで、問題解決を図ったり、新しいことをするための発想につなげられます。
そして、なぜ?という質問は、議論をするときには圧倒的に有利な立場になることができます。質問をする側は、相手が矛盾したことを言ったらさらに問いかければいいですし、論理的で筋が通っているのであれば、そこで質問を止めることもできます。
議論で勝敗をつけるということを目的にはしてはいけませんが、もし自分が議論をする場合は、「なぜ?」という質問を意識することも大切です。
ここからは、このシリーズのまとめページに飛びます。
随時更新していきます。
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