この記事はこんな人におすすめ
- 子どもの学力を上げたいけど、どんな方法があるかわからない
- 子どもの注意力が散漫で、勉強しなくてどうすればいいかわからない
- とにかく勉強だけさせてれば、子どもは頭が良くなると思っている
結論は、体力と学力は相対関係にある
子どもの学力を上げたいと願ったり、将来、子どもが高収入などのいい仕事をさせたいと思う親は多いです。
自分が大人になってから「子どものころに勉強しておきたかった」と思うことも。
子どもの場合は、学力を上げたり勉強効率を上げるには、身体を動かすことが最適です。
集中力や注意力散漫など、子ども特有の悩みは多いですが、運動をすることで解決できる可能性が高いです。
集中力が高まれば、当然、学力向上にもつながり、良い成績を得られやすいです。
子どもへ学力向上を目指すのであれば、多くの恩恵が得られる運動をして上げていきましょう。
このブログは、以下の書籍を参考に、自分の考えと経験を加えながら書いています。
運動が子どもたちの基礎的な学力(読み・書き・計算)の力を伸ばすのは、立証されています。
調査対象は2つの小学校で、時間割に体育が毎日と、週2回のクラスに分けられました。
体育の授業の回数以外、条件は全て同様で、特別な指導もなし。
結果としては
・体育を毎日やったクラスは、体育の成績が向上した
・体育を毎日やったクラスは、算数、国語、英語でもよい成績をとった
・上記の効果は、何年も続き、優秀な成績で卒業を迎えることができた
体育の授業を行うと、一般的には成績に男女差はでてきますが、毎日行うと、差が見られなくなったというのもありました。
また、アメリカの研究チームも同様に、小学校3年生と5年生、計250名を対象に調査を行いましたが、同様の結果を得ました。
毎日運動するだけで学力が上がるのか
上記のアメリカの研究では、生徒たちの体力を正確に把握するため、心肺機能、筋力、敏捷性を計測した。
その結果、体力のある生徒たちは、学業においてもすぐれていることがわかりました。
体力のある生徒は、算数と読解の試験で高得点を取り、体力がすぐれているほど、得点が高かった。
逆に、肥満気味の生徒は、体重が重いほど、試験の得点も低かった。
また、アメリカのネブラスカ州では、1マン名近い子どもたちを対象にして、同様の調査が行われました。
ここでも、体力的にすぐれた子どもは、体力のない子どもより、算数や英語の試験の得点が高かった。
一方、肥満傾向にある子どもには、特に差は見られなかった。
肥満児の成績は、標準体重の生徒に比べて、良くも悪くもなかった。
大人は、運動すると海馬(記憶の中枢と感情の制御)が成長しますが、子どもでも同様のことが起こるようです。
子どもでも身体を鍛えれば、脳の重要な部位である海馬が大きくなります。
この分野の研究では、簡単な試験よりも、難しい試験では差が明確に出て、体力的にすぐれた子どもが大差で上回る結果もでたそうです。
学力向上には運動が近道・・・
子どもの場合でも運動をすると、脳の働きがよくなって理解力が増す。
9歳児が20分運動をすると、1回の活動で読解力が格段に上がったというデータがあります。
このメカニズムはまだ解明されていません。
しかし、子どもが運動をした直後に、物事に集中できる時間が長くなることは立証されています。
運動により、子どもの集中力をどれだけ上げれれるか、が学力向上のカギになります。
子どもの集中力を維持するには、10代の子どもでは12分のジョギングで「読解力」と「視覚的注意力」が向上しました。
さらに、その効果は1時間近くも続きました。
それだけでなく、4分間の運動を一度するだけでも集中力と注意力が改善され、10歳の子どもが気を散らすことなく物事に取り組めることも立証されています。
運動で高まる能力は、ほぼ全ての認知機能も含まれます。
複数の作業を並行して行うこと、ワーキングメモリー、集中力、決断力など、こういった能力が向上します。
運動時間は4分で、しかも効果バツグンとは恩恵が大きいですね
子どもが運動から得られる効果は、学力だけでなくストレスにも強くなれます。
小学2年生258名を対象に、子どものストレス下での反応や、抵抗力や活動量の関係性について調査されました。
研究チームは、子どもたちに歩数計をつけることで、活動量を測った。
ストレスを与える方法は、時間制限を設けて計算させたり、他の子どものプレゼンをさせたりした。
結果として、毎日たくさん歩いた子どもは、あまり歩かなかった子どもに比べてストレスを感じにくく、精神状態も安定していた。
また、ストレスホルモンであるコルチゾールの濃度も、よく歩いた子どもはより低くかった。
活発に身体を動かす子どもは、ストレスに強いことがわかりました。
運動は、学力向上の一助になることは明確です。
ストレス耐性がないと満足に勉強もできないですからね
子どもに運動をさせるには、まず楽しいと思えるような活動を本人に選ばせてみる方法もあります。
アメリカの研究チームでは、スポーツを全くしない子どもたちへは、好きな運動を自由に選ばせたそうです。
ランニング、縄跳び、ボール遊びなど、子どもたちが参加しやすいように。
その結果、特別な勉強はしていなくても、みんな一様に算数の試験得点が向上していました。
活動量が増えるほど、試験の得点も高くなった。
20分の運動でも効果はでましたが、とりわけ試験の得点が大幅に上がった子どもは40分以上、心拍数が1分間で最大150回まで上がる運動をしていました。
子どもの能力を伸ばすには、机に向かった勉強すること以外に、身体を動かすことも重要です。
研究チームは、つぎのようにまとめています。
「子どもが潜在的な能力を発揮するには、身体を活発に動かさなくてはならない」
運動をベースにしてから勉強をするってことか
運動は短期的にも長期的にも、子どもの脳に多くの恩恵をもたらすのは明白です。
子どもの、運動を定期的に数カ月続けると、効果は増大して長続きする。
運動の種類は問わず、ランニングでも、テニスやサッカーでも、とにかく身体を動かす遊びであれば効果はあります。
運動のポイントは「心拍数を増やすこと」。
運動による恩恵は大人でも受けられますが、小学校に通う学童期が最も恩恵を受けられる時期です。
心拍数が上がらないと、運動したことにはならないのか
運動によって大人でも子どもでも脳の機能を向上させる変化を起こさせますが、学習脳の仕組みも明らかにしています。
脳は、主に「灰白質と白質の2つに分けられます。
灰白質がコンピューターで、白質はコンピューター同士をつないで伝えるケーブルのような役割。
〇灰白質
外側の層(大脳皮質とも)。脳の複雑な営みの部隊。情報の選別や記憶の保管を行う。
エネルギー消費量も多く、脳全体が必要とするエネルギーの90%を消費する。
〇白質
内側の層。あらゆる情報はここから各領域に伝わる。
神経細胞から伸びる「軸索」という線維が集まってできている。神経細胞は軸索を使い情報を伝え合う。
灰白質と白質、どちらが欠けても私たちの身体は正常に機能しません。
そして、どちらも運動によって鍛えらます。
相互で機能しているということですね
灰白質と白質、運動をした子どもの脳で変化がみられたのは両方です。
最初、科学者たちは、海馬の灰白質が成長していることがわかりました。
そして、子どもたちが定期的に運動を行った場合、白質にも変化がみられました。
白質というケーブルが強化されることで、脳内で情報がより効率的に伝わりやすくなり、脳全体の働きがよくなります。
認知機能が灰白質で処理されていますが、白質も決して無関係ではありません。
小学校に通う子どもたちの脳をDTIでスキャンしたところ、脳の左側の白質が「数学的な能力」に関わっていることがわかりました。
運動が白質に及ぼす影響は、子どもだけでなく大人も、つまり年齢を問わず機能が強化されます。
とりわけ大人の脳の白質と運動量は、かなりの関係性があると考えられています。
白質の機能を高めるためには、毎日を活動的に動かすだけで十分で、激しい運動や長距離マラソンを走る必要はありません。
大人でも数学的思考力を鍛えるには定期的な運動がいいんですね
スウェーデンでは、立って仕事をしており、そのほうがカロリーを消費するからだと言われています。
実際に、座って仕事をするのと立って仕事をするのでは、エネルギー消費量は2倍近く差がでるそうです。
しかし、カロリー消費以外にも、立って作業をすると脳が効率よく働くと言うメリットがあります。
学校でも、立って勉強をすると、集中力、ワーキングメモリー、認知制御が増した。
さらに、テストの結果では、立ち机を使って勉強をすると、平均で10%も上がっていたという研究もあります。
MRIで脳をスキャンしたところ、立って授業を受けた子どもたちの前頭葉は活発化していました。
立って仕事や勉強をした方が、脳が効率よく機能するため、集中力や記憶力が向上するということです。
座って仕事や勉強をするのが当たり前って考えでしたからね
身体を動かしながら勉強や作業をするのが効率的
運動をすれば心が落ち着き、ストレスにも強くなる。
記憶力、創造力、集中力といった認知機能も向上します。
※認知機能を総合したものが「知性」と呼ばれる。
運動をするとIQ(知能指数)が高まるかどうかは、スウェーデンの軍の入隊検査でわかりました。
体力テストの結果がよかった新兵は、そうでない新兵よりも知能指数が高かったと結果が出ています。
入隊検査では、1日かけて様々なテストが行われるそうです。
体力テスト、筋力テスト、心理テスト、知能検査が行われます。
26年以上にわたり、120万人以上の18歳男子が、このテストを受けており、最近になって結果がまとめられました。
資料では、身体のコンディションの良好な、または体力のある若者は概ね知能も優れていた。
運動ができる人はIQも高いということか
研究チームは、双子のデータにも着目しました。
総合的にみれば、あらゆるデータは同じ結論「運動をすれば頭がよくなる」にたどり着きます。
しかし、知能指数の高さと相関性があったのは持久力のみで、筋力は無関係。
知能検査で測れる能力は、いくつかに分類されます。
「言語の理解力」「数学的思考」「論理的思考」「3次元的な図形の認識」などです。
こういった能力のすべてが体力と関わっていることが判明しました。
とりわけ相関性が強いのは「論理的思考」と「言語の理解力」で、この2つは海馬と前頭葉が関わっています。
海馬と前頭葉は、運動の効果が最も出る部位であるため、この2つの能力が大きく向上するのは文字通り、論理的です。
持久力を身につけると体力も知力も上がるんですね
18歳の時に体力に恵まれていた者は、その後何十年にもわたってその恩恵をこうむっています。
高い学歴、報酬にも恵まれた(40歳前後の時点)よい仕事に就いていることがわかったそうです。
また、うつ状態になる可能性も低かった。
記録では未遂も含めて自殺者が少なかったため、臨床的なうつ病の発生率も低いと思われた。
若いころから体力のある人をまとめると次のようになります。
- 高い学歴を経やすい
- 高い収入に得られる仕事に就きやすい
- 精神疾患にかかる可能性が少ない
- てんかんや認知症を発症するリスクが低い
18歳時点で全てが決まるわけではないですが、30~40歳なっても身体も心も健康でいられる可能性は高いです。
運動で全ては決まらないですが、将来の可能性は広がりそうですね
子どもが運動をすると脳全体の機能が向上するため、学力も上がります。
身体をよく動かせば、脳の灰白質と白質の働きが強化されます。
これは、子どもでも大人でも知能が高くなることを意味します。
現代では、スマホやタブレットに時間を取られるのは大人も子どもも一緒です。
子どもの学力向上を目指すならば、身体をもっと動かしさえすれば、それだけでも十分効果があります。
親がスマホを触っていれば、子どもも触りますからね
脳に効果を及ぼすには、心拍数を上げることが何より重要です。
肝心なのは運動の強度であり、活動内容は問いません。
これはただ単に遊びでもよく、とにかく身体を動かすこと自体、IQを高めることにつながります。
短い時間でも効果はあり、学童期や思春期の子どもたちは、12分間身体を動かしたことで、読解力や集中力が増しています。
ジョギング程度でも4分するだけで物事に集中しやすくなります。
10~40分の運動をたった何度かしただけで、ワーキングメモリー、読解能力や注意力も持続するなら、やらない選択肢はないでしょう。
当たり前のことをできると見返りが大きいですね
子どもへの投資は、運動が最適です
学力を高めるためには身体を動かすことです。
成長過程の子どもは、特に恩恵が大きいですね。
運動脳のまとめです。
- 毎日身体を動かすと、国語、算数、英語の成績が上がりやすい
- 体力があると読解力や計算力も高まる
- 4分の運動で集中力が改善
- 12分のジョギングで読解力と視覚的注意力が改善
- 20分の運動で読解力が格段に上がる
- 学力を上げるには心拍数を150以上まで上げる
- 体力のある人は、相対的にIQ(知能指数)も高い
- IQは持久力で伸ばせるが、筋トレではできない
- 体力があると、将来的に高学歴、高収入、精神疾患のリスクが低くなる
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