この記事はこんな人におすすめ
- 行動する前に、一体何を考えていいかわからず悩んでいる
- 実行するには不安が残るから、何か対策出来ないか悩んでいる
- チームを動かすためのヒントが欲しい
組織として、チームを動かすには事前準備が必要です
現代ビジネスにも、約2,500前に考えられた戦略は通じるものがあります。
ビジネスを始める前や、チームとして動き始める前から既に仕事は始まっています。
なんの戦略もなしに、情報なしで生き残れるほど社会は甘くはありません。
逆に言えば、情報を把握して、事前準備を行っていれば想定外のことが起きても対処ができます。
命のやりとりをしていた時代とお金のやりとりをする現代、どこか通じるものがありますね。
このブログは、以下の書籍を参考に、自分の考えと経験を加えながら書いています。
敵を殺すものは怒(ど)なり。敵の貨を取る者は利なり。
〇現代で言うと・・・
倒すのではなく、取り込む
要約
相手を殺してしまうのは、思慮を失い憤怒にかられたものである。
相手の資材を取り込んで利用するのは、その利を冷静に判断するものである。
相手を憎しみや怒りで倒してしまうのは、孫子のいた時代では当たり前だったようですが、冷静に相手の力を取り込み、相手を味方にすることを考えることを優先しようということです。
相手の資材を奪い取ったら、自分の旗をつけて、相手を大切に扱って、自分たちの人員として取り込めば、勢力拡大が狙えます。
ビジネスで言えば、M&A(合併と買収)と同じです。
敵対的な買収を行ったとしても、そこで働く社員を活用するには大切にするしかありません。
未上場企業では友好的なM&Aしか成立しませんから、同業他社と合併したり買収したりする場合を考えると、業界の横のつながりを大事にしましょう。
倒産したら従業員の負担も大きいですからね
成長中の企業を叩きのめしても、恨みを買うだけですからね
知将(ちしょう)は務(つと)めて敵(てき)に食(は)む
〇現代で言うと・・・
ライバルの力を自分の力にしてしまう
要約
敵地に遠征している優れた将は、敵地で食料調達を考える。
孫子は相手の国に攻める際のロジスティック(物流)を指摘したのでしょう。
敵地で現地調達できれば、自国から運ぶ倍の価値はあるとも言っています。
2500年前は、車も飛行機もないわけですから、物流の問題はいつも付きまとっていたのでしょう。
現代だと、相手をうまく利用することが大切です。
例えば、競合企業がいる場合で同じ商品を扱っていたとすると、共同でその商品のPRをする協力者とも捉えられます。
宣伝効果がたかえれば、自分にとっても有意義になります。
そして、その商品カテゴリーの認知が高まれば、マーケットが拡大してメリットを享受できます。
いわゆる、WIN-WINの関係ってやつですね
そこに「世間」も加わえ、三方由(さんぽうよし)を狙いましょう
明主(めいしゅ)・賢将(けんしょう)の動きて人に勝ち、成功の衆(しゅう)に出(い)づる所以(ゆえん)の者は先知(せんち)なり。
〇現代で言うと・・・
先に知り、先に考え、先手を打つ
要約
聡明な君主(リーダー)や優れた将軍は戦えば必ず勝つ。
人並み以上の成功を収めることもできる。
それは、事前に相手の事情を察知していることに理由がある。
世の中優秀に見える人はたくさんいます。
ですが、その多くは特別な才能を持っているわけでもなく、特殊能力があるわけでもありません。
ただ、間者(スパイ)を使って、先に情報を取っているだけです。
今日明日、賢くなることはできませんが、情報を先に取ろうと意識することはできます。
祈り、野性的感、占いで判断するのではなく、人間が直接動いて情報をとることが大切です。
ビジネスでも、神頼みや祈りで乗り切ろうとする人はいますが、それは情報を収集し、考えて、対策を行った後に初めて行う事です。
何もせずに、祈りだけで乗り切ろうとするのは、優秀とは言えませんね。
先手を打っても、そのとおりになるとは限らないから祈るってことです
給料が下がらないように祈るんじゃなく、下がらない行動をする必要があるんですね
軍の撃たんと欲する所、城の攻めんと欲する所、人の殺さんと欲する所は、必ず先(ま)ず、其の守将・左右・謁者(えつしゃ)・門者(もんじゃ)・舎人(しゃじん)の姓名を知り、吾が間(かん)をして必ず索(もと)めて之を知らしむ。
〇現代で言うと・・・
どうしても勝ちたければ、事前に情報を集める
要約
攻めたい相手、城塞、倒したい相手がいれば、必ず事前に間者に銘じて詳細を得ること。
その陣営のリーダー、キーパーソン、取次役、受付役、護衛などの姓名を調べる。
先に知る「先知」の具体的な事例とも言える内容です。
相手の周辺情報・人脈情報など、細かい情報を収集することで、相手の弱点を突き、有利に事を運ぶことができます。
間者というとイメージしにくいですが、ビジネスだと営業と言い換えていいでしょう。
営業を競合がひしめくマーケットに投入することで、情報を集めることで競合の弱点や喜びそうなことは何かを把握し、それを上司に報告させます。
営業が持ち帰った情報が、的確であり、顧客のニーズをとらえたものであれば、そこからヒット商品が生まれる可能性もあります。
営業なので、客先で情報を流してプロパガンダ(意識や行動などを誘導すること)をすることもあります。
嘘や誇大告知はいけませんが、相手に判断したもらうための情報を伝えるのは非常に重要です。
営業と聞くと、商品だけ売るイメージがありますよね
優秀な営業が知見が広いのは情報を集めているからですね
兵とは詭道(きどう)なり。故に、能なるもこれに不能を示し、用いて之に用いざるを示す。
近くともこれに遠きを示し、遠くともこれに近きを示し、利して之を誘い、乱して之を取る。
〇現代で言うと・・・
サプライズを与えて良い意味で相手を裏切る
要約
戦いとは相手を欺く行為である。
戦闘能力があっても無いように見せかけ、ある作戦をしようとする時は、その作戦を取らないように見せる。
相手に有利なように見せてワナにかけて誘い出し、混乱に乗じて相手を撃つべき。
孫子のいた約2,500年前では、このまま読むと「騙しあい」がベストであり何をやってもいいと捉えがちです。
しかし、実際に命のやり取りをする場面で、プライドや信用信頼を順守できるひとは少ないでしょう。
そういう現実に対処するために、兵法がつくられたわけです。
そうした中で、一番人の命を失うのは、敵味方がお互い真正面からぶつかり合う全面衝突です。
お互いが力押しでくれば、多くの人材を失うことになります。
それを避けるため知恵が「詭道(欺くこと)」です。
これによって無駄に人材を失うことを避けられます。
現代のビジネスであれば、「相手の予測を上回り、いい意味での裏切り」と捉えましょう。
競合を出し抜くというのも当てはまります。
ただの価格競争で戦うのではなく、差別化の原点に立ち返り、顧客視点でのサプライズを意識することを考えるのが大切です。
大企業同士も正面衝突する危険性は大きいという事ですね
大手牛丼屋も知恵を絞って経営して、今があるんですね
兵は拙速(せっそく)を聞くも、未だ功久(こうきゅう)なるを睹(み)ざるなり
〇現代で言うと・・・
スピードが速ければ、失敗した後のやり直しも速い
要約
戦いには多少つたない点があったとしても、速やかに事を進めて勝利した成功例はある。
完璧を期して長引かせた結果の成功例はない
とにかく行動を速くというわけではなく、この時代の戦いは長引くとお金もかかり、兵のやる気も下がっていいことがありませんので、拙い手法でも早くこなしたほうがいいということです。
ビジネスでも、考えてばかりで何もせず無駄な時間を過ごすよりも、多少粗削りでも実行してみる。
ダメだったなら、修正してまたチャレンジをすると考えてみましょう。
仮説を検証することを繰り返すことでもいいでしょう。
これは考えずに働くということではなく、考えるばかりでは限界があるため、考えが悩みに変わるくらいなら実行して検証するほうが次につながりやすくなります。
このサイクルを速く回すことが、現代ビジネスでは求められます。
行動が速い人の特徴は、ここにあります。
企業家はいつも行動してるイメージが強いな
悩むと答えがでないことで頭を使っているだけですからね
孫子曰(いわ)く、兵は国の大事なり。死生(しせい)の地、存亡の道、察(さっ)せざる可(べ)からざるなり。
〇現代で言うと・・・
経営次第で人生は左右されて、会社もつぶれる
要約
戦いは、国(会社)にとって重要な問題であり、避けては通れない。
国民(社員)にとっては、生きるか死ぬかが決まり、国にとっては、存続か滅亡かの分かれ道。
徹底して研究する所であり、決して軽く見てはならない。
孫子は兵法を説く前提として、国にとって戦いがいかに大切であるかを話しました。
「国の存亡がかかっているものだからしっかり勉強するように」と言ったということです。
孫子の兵法を全体でみると、戦いは目の前の敵とどうたたかうよりかは、国同士の付き合いや、どういう体制を作っておくかという大きな話が多いです。
いざ戦いとなったら、国の命運が大きく左右されるから、そこで必ず勝てるように周到に準備しておくことが必要と説明しています。
国だと規模感が大きいですが、会社という言葉に置き換えても、十分当てはまる内容です。
経営者ならば、競合との付き合い方や、自社の人材や財産管理を把握しておかなければなりません。
会社でもプライベートでも、人付き合いって大事だね
会社経営するには、付き合いのバランスを考えることが大事ですね
未だ戦わずして廟算(びょうさん)するに、勝つ者は算を得ること多きなり。未だ戦わずして廟算(びょうさん)するに、勝たざる者は算を得ること少なきなり。算多きは勝ち、算少なきは勝たず、況(いわ)んや算無きに於いてをや。
〇現代で言うと・・・
勝利できるイメージがわかないなら、戦わないほうがよい
要約
戦う前に作戦を立て、廟堂で策を練ったときに勝利を確信できるのは、机上の思索や勝算が相手よりも多いから。
勝利を確信できないのは、勝算が少ないからであり、勝算は実践につながってくる。
勝算が1つもない状況では何も言うことはない。
孫子は、戦う前からすでにどちらが勝つかわかると言っています。
「当たって砕けろ」の精神でつっこむようでは、軍師や将軍は務まりません。
これは現代のビジネスでも、まず業界で勝てるストーリー、計画、段取り、戦略が必要です。
ダメだった場合はやり直せばいいのですが、それも事前の仮説や計画があってこそです。
勝てるイメージがわかないなら、戦ってはいけません。
案を考えても「机上の空論」、「数字だけの辻褄合わせ」、「現実はそんなに甘くない」と言う人もいます。
確かに、現実はシビアですし、考えただけでビジネスで勝てるほど甘くありません。
だからこそ事前に作戦を練る必要があります。
厳しい現実があるので、せめて机上では上手くいきそうな、勝利ができるストーリーを描けなければいけません。
実践の場は特に厳しいです。
そこで出たとこ勝負をやっていれば、お話にならないということです。
「勝算はないけど頑張ろう」では誰もついてきませんね
力押しばかりでは、生き残り続けることはできないでしょう
激水の疾(はや)くして、石を漂わすに至る者は、勢(せい)なり。鷙鳥(しちょう)の撃ちて毀折(きせつ)に至る者は、節なり。是(こ)の故に善く戦う者は、其の勢は険(けん)にして、其の節は短なり。勢は弩(ど)を張るが如く、節は機を発するが如し。
〇現代で言うと・・・
持てる力を最大限発揮するには、勢いとタイミングが重要
要約
水の流れが激しく岩石も動かせるのは、その水に勢いがあるからである。
猛禽(もうきん)が急降下して一撃で獲物を打ち砕くのは、絶妙のタイミングだから。
効果を最大限活かすのは、弓の弦を一杯に引き、タイミングを見て引き金を引くようなもの。
戦いには勢いも大切ですが、それを使うタイミングも重要であると孫子は言っています。
勢いは大きければいいのではなく、タイミングが悪いと逆効果にもなります。
勢いから生み出される力が一転集中できた瞬間が、より効果的な衝撃を相手に与えることが出来ます。
ビジネスでも、勢いとタイミングの併用は重要です。
同じことをやっても、効果がある時とない時があります。
勢いよく商品を売り出しても、タイミングが悪ければ売れることはありません。
スポーツでも対戦ゲームでも、共通して言えますね。
相手が鉄壁の守備をしているときに必殺技を決めても効果は薄いですね
気分が乗っている時は、たくさん仕事をこなしたいですね
睡眠についてのまとめです。
- ライバル企業を倒すのではなく、取り込んで自分たちの力にする
- 相手を上手く利用することで、生産性を上げる
- 情報をいち早く手に入れることで、先手がうてる
- 営業担当には情報収集させ、現状をつかみ先を知る
- 価格競争など全面対抗をしないで、差別化の原点に立ち返る
- スピード感のある仕事はその後の修正もしやすい
- 業界の横のつながりで互いに生き残る
- 勝てるイメージすらできないなら戦わない
- 力を十分発揮するには、勢いとタイミングを見極める
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