この記事はこんな人におすすめ
- 最近なんだか集中力がないし、出ても続かないで仕事がはかどらない
- 仕事中に、よくミスが出る、ボーっとすることが多い
- 運動は良いって聞くけど、運動している時間がない
結論は、運動は集中力を上げて思考力もUPする
集中力のあるなしは、現代社会を送る私たちにとっては悩ましいものの一つです。
集中力は、仕事での生産性、勉強での思考力、作業をするときの没頭力などにつながっていきます。
集中力が足りなければ、当然、仕事で成果がだせず、勉強もすぐに飽き、作業中にスマホがなればそちらを見てしまいます。
こうした集中力の課題を解決するには、私たちの祖先がしてきた、歩く、走るといった身体を動かすことが必要です。
私たちが集中するために必要な条件は食事、社会交流、運動とありますが、こと現代では運動不足が原因で集中できないことが多いです。
生まれつきの特性や環境で、集中しにくいかもしれませんが、ライフスタイルを変えることで集中力は取り戻せます。
このブログは、以下の書籍を参考に、自分の考えと経験を加えながら書いています。
集中力を発揮できない、維持できないという悩みを持つ方は多いと思います。
集中力を高める啓発本や、サプリメントが売られているのは、それほど需要があるからです。
その集中力も、身体を動かすことで改善の助けにすることができます。
集中力そのものを測定する実験として「エリクセン・フランカー課題」があります。
以下の画面のように、モニター上に矢印が表示されます。
表示された矢印のうち、「中央の矢印」がどちらを向いているか答えると言うものです。
例えば、下の画面なら「右」と答えます。(画面では、右下か左下にあるボタンをクリックして解答)
要は、真ん中の矢印だけに集中して答えればよいということです。
これは「選択的注意」を測るもので、見るべきものを選び焦点を合わせる、残りは無視(情報を遮断)もの。
選択的注意は、意識を集中するには欠かせない能力で、現代社会においてはこの能力の高さは大いに有利になります。
スマホから絶えず流れる通知音、SNSで情報収集中に不要な情報に踊らされない、雑音に惑わされず、仕事に集中して取り組むことができるからです。
エリクセン・フランカー課題も、運動によって選択的注意力と集中力が改善することがわかったそうです。
また、健康的な被験者のほうが、意識を集中したりその状態をキープする、脳の頭頂葉(脳の中央頂部)と前頭葉が活発化していました。
取捨選択への力にもなるのですね
健康的な人は、選択的注意力が高いと言うことはありません。
もともと集中力の高い人がたまたま運動を楽しむ傾向があったため、健康であるとも考えられます。
調査対象を2つのグループにわけて、新たに別の調査が行われました。
①ウォーキングを週3回、45分を行う。
②ストレッチやヨガを週3回、45分行うが、心拍数が増えないようにする。
半年後に双方のグループでエリクセン・フランカー課題に取り組みました。
結果は、①のグループは課題をうまくこなし、選択的注意力の改善と前頭葉、頭頂葉の活発化がみられました。
習慣的なウォーキングを行うだけで、つまり誰でも選択的注意力や脳が成長するということです。
集中力と選択的注意力は歩くだけで改善できる
ウォーキングをすると、前頭葉の細胞同士のつながりの数が増えると、この本の著者は考えています。
そのおかげで、脳が外からの情報を扱いきれなくなった時に、前頭葉の機能をパワーアップできるようになった。
ウォーキングにより選択的注意力の改善、前頭葉と頭頂葉の活発化の結果から「脳の働きが活発になると可逆性(変化する力)が促進され、周囲の環境に対処する注意力も高まる」と至ったそうです。
周囲に気をとられそうになると集中モードに入れるんですね
ADHDという言葉を聞いたことがあるかもしれません。
ADHDは「注意散漫」「衝動性」「多動性」の3つの問題を抱えていると下されるそうです。
この3つの特性は、多かれ少なかれ、私たち誰もが持っているものです。
大人でも、子どものように注意が散漫になったり、目の前のことに集中できないことが起こります。
注意力は、睡眠不足やストレス、時間帯、まわりの状況に左右されることが多いです。
衝動性や多動性も似たようなものです。
ADHDと一般的な集中力の低下は、具体的な線引きができないかと思います。
ADHDと下されるのは、日常生活に支障をきたしている場合のみです。
例えば、学校や職場にいるときだけで問題が起こる場合は、単に環境が悪いせいかもしれませんので、判断はできないようです。
集中力に悩む人の誰もが、ADHDの要素を持ち、多少なりとも診断基準に当てはまる場合もある、ということです。
強く現れるかどうかは、人それぞれです。
集中力不足をADHDと決めつけるのは短絡的ということですね
ADHDだから集中できない、は思い込みのせいかもしれません
運動と集中力の関係は、思いがけないところから生まれます。
美味しいものを食べる、友人と会話をする、仕事で褒められる、こういった「報酬を得る」ことが顕著でしょう。
ご褒美のために、集中できる人は多いですね
脳の「報酬系」は強力なシステムで、私たちの行動の原動力にもなっています。
脳には「側坐核(そくざかく」があり、ここは脳内の様々な領域とつながっている細胞が集まったものです。
側坐核は、報酬と非常に関係の深い部位と言えます。
脳には細胞から細胞へ情報を伝える物質「神経伝達物質」がありますが、その中の1つにドーパミンがあります。
美味しいものを食べる、社会交流、運動などをすると、側坐核でドーパミンの分泌量が増えます。
ドーパミンが出ると、ポジティブな気分になり、その行動を繰り返したくなります。
進化の過程で、食事、交流や運動などは全て生存確率を上げることにつながり、本能的にプログラムされています。
運動をすると心地よい気分になるのは、私たちの祖先が、狩猟や住み家を探すときに走っていたためだと考えられています。
生き延びるための行動になり、脳が報酬を与えてくれているということです。
ただ生きるため、脳が何万年もの間、変わっていないことを示しています。
生きるために集中するのは合理的な考えですね
側坐核は、快感という報酬を与えることで、生きるための行動に向かわせてくれます。
しかし報酬は、幸せな気分にするためだけにあるのではありません。
報酬は意識を集中するためにも欠かせないシステムで、これを集中力回復に役立てない手はありません。
側坐核は、常に休むことなく活動しています。
今、あなたや私が行っている(このブログを読んだり書いたり)ことは価値があるかどうか判断し、その情報をほかの領域に伝えます。
テレビをみたり、SNSをみたり、そういったことも含まれます。
現代の化学では、報酬系の働きには個人差があることがわかっているそうです。
生まれて間もなく機能が調整される人、上手くできない人など様々です。
中には、多くの人にとってはドーパミンが出ることでも、極端に気が散りやすい人は違う傾向にあるそうです。
すると、通常の報酬系よりも刺激的なことを選びがちになります。
大きな刺激を得られそうなものを探すため、視線がさまよい、即効性を求めるため時間がかかるものに目が入らない。
長期的な目標をたてて辛抱強く取り組むことが苦手だったり、その結果、不注意や衝動的になったりしていきます。
こうした人たちは、報酬中枢を活発化させるには、より大きな刺激が必要となります。
この特性も個人により大小さまざまですね
報酬中枢でドーパミンが放出されて快感を得るためには、細胞膜の表面にある受容体とドーパミンが結合する必要があります。
ADHDの特性を持つ人は、報酬中枢におけるドーパミンの受容体が少ないと、最近の研究で解明されているそうです。
ドーパミンの受容体が少ない人は、一般的な報酬に惹かれ、興味を持って集中できるようなことでもそれが叶いません。
つまり、刺激が少ないものに直ぐに退屈し、無意識的に刺激を求めて集中力がそがれます。
学校の授業、家に帰ってからの宿題、なんかがまさにそれです。
前述のとおり、ADHDの特性は誰しも持っています。
その多寡が違うだけで、私たちはそれを受け止める必要があります。
一度興味を持つと没頭できるタイプですね
意識とは、大脳皮質の各領域が構成する発達したネットワークのなかにあり、様々な知覚(視る、聴く)を司る領域を含めて、前頭葉と側頭葉が連携した結果だと考えられています。
「視床」と呼ばれる部位があり、ここは脳内で中継地点のように働く場所です。
イメージとして、感覚の刺激などの情報が脳内の領域から視床に集まり、そこからネットワークを通じて別の領域に広がっていくこと(野球でいう二塁やショートのポジション)。
とりあえず、情報は一度1か所に集められ、そこで取捨選択されて別の場所に繋がっていくということです。
意識は、注意力や集中力と大いに関係があります。
意識の中では、様々な領域から運ばれた多くの情報が飛び交っています。
当然、情報量が多すぎても片づけられないので、意識は情報をふるいにかけ、今、集中すべきものに判別します。
いっぺんに何でもできるわけないから、選ぶんですね
たとえば、カフェや居酒屋の中で、雑音が飛び交っているのに、自分の名前だけは聞き取れる、という経験はないでしょうか。
自分は自覚していなくても、脳の一部は反応し、その胡淵方向に注意を向けます。
これは、感覚中枢から伝えられた雑音を取り除き、目の前のことに集中するためにはドーパミンが必要です。
ドーパミンは「報酬の脳内物質」だけでなく、集中力を保つためには絶対に欠かせない物質。
ドーパミンが充足 | ドーパミンが不足 |
集中力の維持 | 集中力の不足 |
周囲の音を気にしない | 周囲の音を気にする |
目の前のことに没頭できる | 没頭できずイライラする |
ドーパミンは、ノイズキャンセラーのようなもので、目の前のことに集中するために雑音を取り除いてくれます。
寝不足だとドーパミンが不足しやすいんですかね
ドーパミンのおかげで仕事がはかどりますね
ドーパミンの分泌量が減ったり、上手く機能しないと頭の中で雑音が発生します。
ドーパミンが取り込まれないため、集中力自体も低下しますj。
ADHDを薬で治療する場合、薬でドーパミンの分泌量を増やし、集中力を改善するようです。
しかし、薬を服用しても全ての人に対して効果があるわけではありません。
薬に頼らず、ドーパミンの分泌量を増やす方法は、運動です。
運動すると集中力が上がるのか
運動が集中力を改善する大きな理由は、運動によってドーパミンの分泌量が増え、注意力と報酬系のシステムが上手く調整されるためだろうと、この本の著者は推測しています。
運動をすると、報酬中枢の側坐核にドーパミンが届き「今やっている行動は続ける価値がある」と判断し、維持しようとするからです。
今日では、運動をした直後にドーパミンが増えることもわかっているそうです。
運動を終えた数分後には分泌量が上がり、数時間はその状態が続きます。
運動後は、集中力が高まる、感覚が研ぎ澄まされる、心が穏やかになります。
加えて、身体に与える負荷が大きいほど、ドーパミンの分泌量が増えるようです。
そのため、ウォーキングよりもランニングの方が、ドーパミンの分泌量を増やすのに適しています。
ドーパミンは、運動時間が長いほど増えていくため、短時間では効果は実感できないでしょう。
ドーパミンは、幸福感をもたらす効果もあります。
運動をすると、集中力は改善するし、すっきりと心地よい気分になるのに、副作用は全くありません。
薬を嫌煙する場合は、運動で集中力を改善するようにしてみましょう。
運動による集中力UPで、良サイクルが生まれるな
ドーパミンは、前頭葉にも大きな影響を与えています。
前頭葉の中の前頭前皮質では、脳の司令塔であり、どこよりも発達した部位です。
長期的な目標を設定して達成する力は、前頭前皮質で生まれます。
前頭前皮質の役割をまとめると
・抽象的思考力
・数学的思考力
・論理的思考力
・衝動的な行動を抑える
・認知機能のコントロール
運動をしてドーパミンを増やせば、報酬系と前頭葉、つまり、集中力を作用する二つの部位に一気に働きかけることができるのです。
運動で学力も上がられたりするってことか
前頭葉は運動で強化できる領域の1つです。
運動を習慣にしている人の前頭葉は、脳のほかの領域と連携が強くなり、残りの領域にも影響を与え、制御できるようになります。
新しい血管も作られ、これにより血液の供給量が増え、脳内の老廃物がきれいに取り除かれる恩恵もあります。
ウォーキングやランニングで前頭葉は強く活性化しますが、集中力アップの効果は短期間では実感できないでしょう。
定期的に数カ月続けると、ようやく集中力が持続できるようになったと思えるはずです。
自らの行動(運動)で脳のコンディションを作り上げ、自制心を鍛えることは、生活や仕事で必ず役に立ちます。
脳に支配されるのでなく、脳を作るのは自分ということか
コンディションが悪いのは自分のせい、と認識しましょう
集中力回復にかかる時間は、最短で5分という研究結果もあるそうです。
ある研究では、わずか5分ほど身体を活発に動かすだけでも子どもの集中力が改善され、ADHDの症状も緩和されたそうです。
ADHDの兆候が見られない大人の場合でも、集中力の改善が期待できるようです。
ただし、集中力を改善するためには、漠然と日常を過ごすのではなく、積極的に身体を動かす生活をする必要があります。
つまり、休日を家の中だけで過ごすのではなく、運動を取り入れたり、身体を動かす生活を送る必要があります。
集中力の違いは、遺伝や環境では決まらず、生活習慣によって高められます。
200組の双子を対象とした集中力改善の研究では、双子でも、1人は身体を動かす、1人は静かに過ごしていた場合の結果は、身体を動かした被験者の方が集中力の改善(向上)がみられたようです。
自分の生活サイクルが集中力の多寡を決めるんですね
遺伝や環境では決まらないのは、ありがたいことですね
身体を動かすことで集中力が上がる理由は、私たちの祖先のライフスタイルにあります。
私たちの祖先は、日々、生きるために食べ物を狩りで得ていました。
狩りに失敗すれば、食べ物が得られないため生き残れなくなる。
そのためには、絶対的な集中力が必要となります。
生存の可能性は、脳が集中力を高められるかがポイントになってきます。
私たちの脳は、そういった狩猟採集時代から、さほど進化していません。
「脳.ver1.0」のまま、今でも変わらないでいるのです。
そのため、運動をすると集中できるメカニズムは同じように機能します。
身体に負担をかけると、脳はそれが生死を分けるほどの重要な行動だと解釈し、結果的に集中力が上がります。
運動は古来よりの生活習慣だったんですね
注意力が欠如していることやADHDに対してはネガティブな特性としてとらえることが多いでしょう。
しかし、時には、衝動性や多動性は強みにもなります。
結果が出るのをじっと待っているのに耐えられない人たちが、成功者となっていることも多いです。
じっくりと腰を据えて結果を待つ忍耐力を持たないためですが、起業家やビジネスリーダーにこういった特性がみられるのは少なくありません。
衝動性や多動性の特性を持っている人は、身体を動かすようなことに向いています。
それは、狩猟のようなものにも含まれています。
ケニア北部の砂漠で生活しているアリアール族は、今でも水や食料を求めて家畜と共に移動生活をしています。
科学者たちの研究によると、アリアール族の血液を調べたところ、ADHDの特性を持つ人の方が、食糧を多く調達できていたようです。
狩猟をするような、身体を動かす生活は得意としていますが、農耕のような定住するような作業には向いていないということです。
つまり、同じ環境で暮らす人であっても、役割が違うだけで成果に大きく影響がでるということです。
つい身体を動かしてしまう人は狩りのような仕事や役職を、忍耐強く長期的に取り組める人は農耕のような仕事や役職をすると、自分の実力を発揮できるのです。
ADHDだからってガッカリすることはないんです
現代では情報はデジタルが主流となり、人類の歴史が始まってから2003年までの分量に相当する情報が、わずか2日間で生み出されているそうです。
パソコンやスマホからは続々と情報が送り出されてきます。
その膨大な量の情報を扱う私たちの脳は、狩猟採集時代からほとんど進化していません。
このような環境下でそのまま暮らすと、一つのことに集中できないのも当然であり、情報の波にのまれないために対策は必須です。
解決する手段は、薬を処方してもらうことではなく、生活習慣を見直すこと。
集中力を取り戻すには、何を変えればいいのか考えればいいのかということ。
科学の研究では、本当に効果のある脳トレは、身体を動かすということが明らかになっています。
今は身体を動かすことが少なくなった時代ですが、運動をすれば身体は昔と同じ反応をしてくれます。
情報処理社会ですが、頭が追いついていないんですね
集中力を取り戻すには運動が最適ですが、どうやればいいかをご紹介します。
方法 | ランニングがおすすめ |
いつ | 朝、日中の早い時間帯 |
時間 | 1回30分以上。少なくとも20分 |
どこで | 緑のある公園、なければ信号が少ない道 |
運動は習慣にすることが大切です。
集中力が改善される効果が出るまでは、相当な期間がかかります。
運動は、あきらめないように続けましょう。
心拍数を適度に上げて身体に負担をかけましょう
集中状態を作るためは生活習慣を変えるしかありません
運動による集中力アップの効果はすさまじいです。
そんな運動を習慣化していれば、仕事も勉強もパフォーマンスUPです
運動脳のまとめです。
- エリクセン・フランカー課題で選択的集中力を測定してみる
- ウォーキングで選択的集中力は上げられる
- 食事、社会交流、運動は本能的に集中力を上げられる
- 報酬を用意することで集中力を上げる
- 頭の中では自動的に情報の取捨選択が行われている
- ドーパミンは集中力を維持して、不要な情報を削ぎ落す役割を持つ
- 運動直後から数時間は、ドーパミンが増える
- ドーパミンを増やすにはウォーキングよりもランニングがおすすめ
- 運動は論理的思考力、数学的思考力などを向上させる
- 集中力の向上効果を実感するには、運動を定期的に行う必要がある
- 個人の集中力の違いは、ライフスタイルで決まる
- 私たちの脳は進化していないから運動とは相性がいい
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