この記事はこんな人におすすめ
- 普段からストレスや、緊張感が続いてリラックスできない
- 胸式呼吸と腹式呼吸で、健康にどんな違いが生まれるのか
- 疲れやすい、ダルイ、息苦しい感覚が続いて悩んでいる
腹式呼吸と胸式呼吸では、使う場面が肝心です
腹式呼吸は、ゆったりと落ち着いた呼吸につながるため、ストレス対策やリラックス効果が生まれます。
対して胸式呼吸は、呼吸が荒く、緊張状態を生み出すため、普段からイライラや不安感が募ります。
不安定な精神状態は、仕事やプライベートでも悪影響ができるため、落ち着いた健康的な生活をするには、腹式呼吸を身につける必要があります。
このブログは、以下の書籍を参考に、自分の考えと経験を加えながら書いています。
ヨガ、太極拳、気功といった数千年の歴史を持つストレッチも、静かで穏やかな呼吸法を取り入れてきました。
この本の著者は、太極拳の第一人者である「ジェニファー・リー」(段位7段、2009年の香港と中国で開催された国際武術選手権では、10カテゴリーで金メダル)に会ったことがあるそうです。
太極拳の大会でジャッジが注目するのは、呼吸法だといいます。
呼吸音が聞こえたり、呼吸の動きが見えたりすると減点になります。
リーさん自身も、なぜそういう基準があるかはわかりませんが、それは昔からずっと伝わっているようで、独特の呼吸を続けて来たそうです。
リーさんの呼吸は、とても合理的な呼吸法だったそうです。
腹式呼吸で、力を入れず、呼吸をしていることが目で見て全くわからない。
この本の著者は数千人の呼吸を観察してきたが、彼女の呼吸は完璧だったそうです。
有名な気功と太極拳のマスターである「クリス・ペイ」によると、中国に伝わる「気」という考え方の核も呼吸だといいます。
一般的に、呼吸には3つのレベルがある
レベル1:隣の人に聞こえないぐらい静かにする
レベル2:自分にも聞こえないぐらい静かにする
レベル3:自分でも感じないくらい静かにする
インドの本物のヨガや、伝統的な中国医学も、同じような呼吸法が推奨されています。
余談ですが、インドのヨガと、欧米に広がっているヨガは別物です。
欧米・・・体から毒素を排出するために大きく呼吸をするという考え方
インド・・・呼吸は少ないほどよいという考え方
いつも健康で、穏やかな心持でいたいのであれば、正しい呼吸が欠かせません。
静か、穏やか、鼻呼吸、腹式呼吸、リズムが一定、吐いてから小休止が入る呼吸です。
現代生活で、ここまでできている人はかなり珍しいでしょう。
深呼吸が体にいいという考え方は、息をたくさん吸うと血液にたくさん酸素が送られるという誤解から生まれたものです。
実際には、通常時でも動脈を流れる血液の酸素飽和度はすでに95~99%であり、つまり息をたくさん吸ったところでこれ以上酸素は増えないのです。
インドの本物のヨガを実践している人は、訓練によって二酸化炭素への耐性が高くなっています。
1分間に1回の呼吸を、1時間も続けられる人もいるほどです(ここまでできれば完璧ですね)。
効率もよく、BOLTスコア(体内酸素レベルテスト)も高くなります。
ヨガはインド、というイメージがありますが、内容までは知らないですね
武術をしている人が完璧な呼吸を行えば、呼吸だけで相手を圧倒できるかもしれませんね
それではここで「深い」という言葉について考えてみましょう。
一般的には、「表面から底まで、また入り口から奥までの距離が長い」という意味です。
しかし、呼吸で「深い」と表現をすると様々な解釈ができるようになります。
深い呼吸を推奨するのは、ストレス・カウンセラー、ヨガの指導者、スポーツのコーチなどだが、言われたとおりに胸いっぱいにたくさんの息を吸い込むと、大抵は口呼吸で胸式呼吸になってしまいます。
これは、見た目上は大きな呼吸ですが、内容は浅い呼吸に含まれます。
体にたくさんの酸素を送り込むことが目標なら、やってはいけない呼吸です。
深い呼吸で使われる「深い」にも、「表面から底までの距離が長い」という定義を適用するなら、ここでの「表面」は、肺か、胸部の一番上になります。
「深い呼吸」とは、「肺の一番上から底まで空気を送り込む」といことになります。(もしくは横隔膜を使う呼吸)
健康な動物や赤ちゃんは、安静時は静かで深い呼吸をしています。
吐いたり吸ったりするたびに、横隔膜が静かに伸張と収縮を繰り返します。
あくまで自然な動きで、無理もしていません。
そして一番大切なのは、鼻呼吸であることです。
正しい呼吸というものを具体的に知りたかったら、赤ちゃんか、健康なペットの呼吸を観察してみましょう。
どちらも現代生活の影響を受けていない、自然な呼吸です。
悪癖が習慣化してしまうと、なかなか治らないですからね
動物は、本能的にそういう呼吸をしているのですね。
横隔膜はドームのような形をした筋肉の膜であり、胸郭(きょうかく、心臓と肺がある場所)と腹部(腸、胃、肝臓、腎臓がある場所)を分けています。
横隔膜は主要な呼吸筋であり、正しく使えば、深くて効率的な呼吸が可能になります。
間違った呼吸法では、横隔膜をきちんと活用できません。
効率の悪い胸式呼吸で、呼吸過多の状態になっています。
横隔膜の場所を知るには、一番下の肋骨(ろっこつ)に手を当て、肋骨を体の中心から脇に向かってなぞります。
これが横隔膜のある場所です。目安として、シャツの4つめのボタンあたりになります。
腹式呼吸のほうが効率的な理由は単純で、肺の形がそうなっているからです。
肺は上が狭く、下が広がっているため、下半分の血流は上半分の血流よりも多いです。
肺の上だけを使うペースの速い呼吸(慢性的な呼吸過多によくある呼吸)は、肺の下部を使用していないので、血液に送られる酸素の量が少なくなり、結果として大量の二酸化炭素も失われます。
また、肺の上半分だけを使った呼吸はストレス反応を引き起こし、体が「戦うか、逃げるか」のモードに入ります。
ストレス反応が強くなり、呼吸がさらに激しくなります。
ストレスを感じた時の呼吸を、自分で観察してみるといいでしょう。
おそらく、胸の上のほうで呼吸していることに気が付くはずです。
そして、呼吸のペースも通常より速いです。
武術で「呼吸が乱れる」とは、ストレスがかかりすぎる状態なんですね
将棋や囲碁でも、打つペースが乱れることを「呼吸が乱れる」と表現しますね
人は、ストレスを感じると呼吸過多で口呼吸になる傾向にあります。
ストレスを感じた時の呼吸は、ペースが速く、音が聞こえ、呼吸の動きが大きく、ため息が含まれることが多いです。
普段からこの呼吸をしている人さえいます。
この呼吸を慢性的に行っていると、常に緊張状態にいるようなもので、アドレナリンが多く分泌されます。
こうなると、どんな優秀なカウンセラーやメンタリストでも、手の施しようがありません。
正しい呼吸法を本人に身につけてもらう必要があります。
例えば、メタボリックの患者に、食生活を見直すように言っても、本人の努力がなければ何も解決しないのと同じです。
いつもストレスや不安を抱えている場合は、呼吸法が原因かもしれませんので、間違えた呼吸法を治すところから始めましょう。
反対に、健康でストレスレベルの低い人は、自然な腹式呼吸をしています。
ペースは遅く、静かで規則正しいです。音や動きに気づくこともあまりなく、鼻呼吸をしています。
この呼吸法を身につけるには、副交感神経を活性化して、心身ともにリラックスるすることが大切です。
そのためには、横隔膜を正しく使う呼吸を身につける必要があります。
ため息や、はーはーと荒い息、口呼吸を避け、ペースが遅く、静かで、リラックスした鼻呼吸を目指しましょう。
安静時は常にこの呼吸状態であるべきです。
正しい呼吸が身につけば、効果はすぐに現れます。
心が落ち着き、エネルギーが増し、夜もよく眠れるようになります。
腹式呼吸により、健康状態が改善され、運動パフォーマンスも上がります。
腹式呼吸のもう1つの利点は、リンパ排液の助けにもなります。
リンパ系は、例えば体内の下水道のようなもので、老廃物や余分な体液を体外に排出します。
リンパ系はポンプの役割をするものがないため、横隔膜を含む筋肉の動きに頼ります。
リンパ液が血流に吸い込まれることで、以下の効果が発揮されます
①死滅した細胞を中和
②体液貯留を減らす
③老廃物の排出や解毒作用が促進
これ、普段から水分補給を組み合わせると効果はあがるのでは?
腹式呼吸+水分補給で、デトックス効果は飛躍的に上がります
呼吸をすると、酸素が肺の中に取り込まれ、二酸化炭素が体外に排出されます。
脳の呼吸中枢は、常に血液のpH値と二酸化炭素濃度をモニターし、さらに酸素濃度もモニターしてます。
血中の二酸化炭素濃度が一定のレベルを超えると、呼吸中枢から「呼吸して」という信号が送られます。
慢性的なストレスで、数時間から数日にわたって呼吸過多の状態が続くと、呼吸中枢が二酸化炭素の少ない状態になれてしまいます。
そして二酸化炭素への耐性が正常よりも低くなると、呼吸中枢が「呼吸して」という信号を送る回数が通常よりも増えます。
その結果、呼吸過多となり、運動時の息切れも激しくなります。
それでは、二酸化炭素への正常レベルに戻すエクササイズをご紹介します。
エクササイズ中に、胸とお腹を手で優しく押しながらやると効果的です。
軽度の苦しさを感じる状態を4~5分維持します。この方法は、自分の呼吸を観察することも可能です。
- 背筋を伸ばし、座って肩の力を抜く
- 片方の手のひらを胸にあて、もう片方の手をおへそのすぐ上に当てる
- 息を吸う時はお腹がゆっくり膨らむのを感じ、息を吐くときはお腹がゆっくりへこむのを感じる
- 息をしながら胸とお腹をやさしく手でおして、呼吸への抵抗を作る
- 手を押し返すように呼吸し、息をするたびに小さくする
- 1回の呼吸で、吸い込む空気の量をいつもより少なくする
- 呼吸のペースを落として呼吸の量を少なくし、がまんできるレベルの息苦しさにする
- さらにゆっくりと息を吐きだし、肺と横隔膜の自然な伸縮にまかせ、呼吸する
- 吸う息がごく少なくなって吐く息がリラックスしたら、呼吸の動きは目で見えなくなる
このようなエクササイズで、呼吸時の動きは20~30%減らすことができます。
エクササイズ中に、お腹の筋肉が収縮、緊張、急にうごく、呼吸のリズムが大きく乱れたら、息苦しさが強すぎる合図です。
この状態になったら、15秒ほど中断して、呼吸が落ち着いたら再会します。
がまんできる息苦しさが、3~5分程続けられるようにするのが目標です。
このエクササイズをすると、血中の二酸化炭素が増え、体にも反応が出てきます。
・血管が拡張して体温が上がる
・顔が紅潮する
・唾液量が増える(リラックスして副交感神経が活発になったサイン)
これらの反応がでたら、正常に変化している証拠です。
簡単にできるが、普段から口呼吸だと難しそうだな
普段イライラしている、落ち着かない場合にやると効果的です
時間を意識して、1分あたりの呼吸の回数や呼吸の長さを基準にして、呼吸の量を計測するのは誤りです。
定量化したい人が多いですが、大切なのは時間ではありません。
1分あたりの呼吸の回数を変えても、1回あたりの呼吸の長さを変えても、呼吸法の改善にはつながりません。
たとえば、2秒吸って、3秒吐くという指示では、静かに呼吸するのか、それとも激しく呼吸するのかが分かりません。
静かな呼吸で吸い込む空気の量は、激しい呼吸よりもかなり少ないです。
呼吸の量が重要なので、呼吸の長さは意味がありません。
たとえば、1回あたりのこきゅ量が500mlで、1分間に20回呼吸する人がいるとします。
この呼吸パターンの場合は、単純計算で1分間の呼吸量は10ℓになります。
1分間に10ℓは多すぎるので、この人はもしかしたら呼吸の回数を20回から10回に減らす指導を受けるかもしれません。
しかし、ただ単に回数を減らすだけでは、おそらく1回の呼吸量を2倍にして、減った分を補おうとします。(意識せずとも)
つまり、呼吸過多による症状は改善されないということです。
呼吸の量と回数を減らすには、1回の呼吸量を減らし、酸素の少ない状態に慣れていくしかありません。
それを続けていれば、正常な呼吸に戻ることでしょう。
結果として、1分あたりの呼吸回数も減ります。
軽い呼吸は、基本動作です。
家を建てる時も、基礎がしっかりしていないと倒壊するのと同じように、呼吸も軽い呼吸ができてから、高地トレーニングなどを取り入れる必要があります。
まずは、腹式呼吸と呼吸量を減らすことから始めることが大切です。
基礎は大切って、おばあちゃんがいってた
スラムダンクの矢沢も、バスケの基礎ができてなくて渡米し、その結果は・・
普段から運動やストレッチをしていないと、正しい呼吸という概念さえわからないと思います。
ですが、健康寿命を延ばしたい、いつも心身ともに健全でいたい場合は、いつか呼吸を見直す必要があります。
普段意識して行っていない呼吸ですが、長い人生で、一度は意識してもいいのでは?
呼吸法についてのまとめです。
- ヨガ、太極拳、気功では、呼吸は静かで穏やかな呼吸法が最重要
- 本当の深呼吸は、赤ちゃんやペットが知っている
- 横隔膜を動かして、肺全体を使い質のいい呼吸に変えていく
- 腹式呼吸には、リンパの流れを促進し、デトックス効果がある
- 軽い呼吸のエクササイズを行い、呼吸法を改善する
- 呼吸量は、呼吸の長さや回数では決まらない
- 軽い呼吸は呼吸の基本動作なので、一番初めに身につける
ここからは、このシリーズのまとめページに飛びます。
随時更新していきます。
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