この記事はこんな人におすすめ
- 部活や競技で、ライバルと差をつけたいけど、どこで差をつけたいか悩んでいる
- 持久力を身につけ、底なしの体力で試合中はずっと動けるような選手でいたい
- ケガをしていても、体力を落としたくなくて悩んでいる
運動ではどのように負荷をかけるかも大切です
アスリートともなると、いかにしてライバルと差をつけるかが重要になりますが、その方法の1つとして、息を止めるトレーニングがあります。
この方法は疑似的に高地トレーニングができるため、オリンピック出場選手も実践しており、強度を上げればその分記録も出せるようになります。
ただし、やりすぎは禁物であるため、高強度の息止めトレーニングは、一人では行わないようにしましょう。
このブログは、以下の書籍を参考に、自分の考えと経験を加えながら書いています。
少し古いですが、1940年代から50年代にかけて活躍した、「人間機関車」とあだ名されるチェコ人ランナーのエミール・ザトペックは、ニューヨークタイムズ紙から「史上最高の長距離選手の1人」と呼ばれています。
彼もまた、息をとめるトレーニングを実践していました。
ザトペック選手は身長173㎝、レース時の体重は63㎏でした。(この界隈では小柄な部類)
しかし、自身で開発した息を止めるトレーニング・インターバルトレーニング方法により、ライバルに差をつけることに成功しています。
彼は毎日の通勤で、ポプラの街路樹が植えられた道を歩きます。
初日、彼は4本目のポプラの木まで息を止めて歩きました。
2日目は5本目のポプラの木まで息を止めて歩く。
そうやって、息を止めて歩く距離を、1日のポプラの木1本分だけ増やしていき、最終的にはポプラ並木の終わりまで息を止めて歩くようにできたようです。
息を止めすぎて気を失ってしまったことも一度あったそうです。
現代のランナーが息を止めるトレーニングを取り入れる以前から、この伝説のランナーが行っていたということです。
息を止めるトレーニングは、中度から強度の息苦しさを感じる程度がいいですが、自分の感覚を常に大切にしましょう。
限界まで我慢して、2~3回の呼吸で通常のペースに戻るのが目安です。
それ以上は、我慢しすぎの証拠です。
初心者の場合、まずは息を止めて10歩歩くところから始めましょう。
それを、3~4回繰り返したら、今度は5歩ずつ増やしていきます。
最終的に、息を止めるという事になれたら、中度の息苦しさを感じるまで歩数を増やします。
目標値は、最初のセッションで息を止めて30歩まで歩けるようになることです。
そして週に10歩ずつ増やしていきます。
2~3週間で80歩まで増やすことが出来た場合は、上出来でしょう。
息を止めるエクササイズは、低地にいながら高地トレーニングと同じ効果が期待できるだけでなく、いつものトレーニングに取り入れることで、強度トレーニングと同じ効果も期待できます。
酸素が低い状態と、二酸化炭素が高い状態が作り出されると、体に次のような変化が起こります。
・二酸化炭素への耐性が高くなる
・持久力が高まる
・筋肉に乳酸が蓄積することによる疲労や不安感が軽減
・血液の酸素運搬能力が向上
・効率よく呼吸ができる
・最大酸素摂取量が向上する
いつものジョギングに、息止めを取り入れるといいのですね
無理をすると、一気にクラクラするので、初回は少しずつやりましょう
息を止めるエクササイズをする際には、持っていればでいいのですが「パルスオキシメーター」という、血液の酸素飽和度を測る器具があるといいでしょう。
これは、指先につける小さな器具で、NONINなどのブランド品であればより正確に測れます。
パルスオキシメーターを使う利点の1つとして、効果が数字として表れるためにモチベーションが上がります。
たとえば息を止めるエクササイズを行うと、血液の酸素飽和度がすぐに下がるのが確認できます。
それに加え、やりすぎ防止につながります。血中酸素飽和度が80%以下になったらやりすぎの証です。
すぐに中断して呼吸を再開しましょう。
低地における血中酸素飽和度は95~99%です。
これが94%以下になると、息を止めるトレーニングの効果が表れます。
最初のうちは息を止めても、酸素飽和度はそれほど下がりません。
しかし、数日間、練習を継続していけば、強い息苦しさにも耐えられ、酸素飽和度がかなり下がるようになります。
次の2つの要素によって決まります。
1 トレーニング中の酸素飽和度
2 低酸素状態にさらされる時間
※大切なのは、ゆっくりと確実に進歩することです。最初から頑張りすぎないようにしましょう。
はじめは中度の息苦しさを感じるくらいにとどめ、それを2~3回繰り返したら、だんだんと息を止める時間を長くしましょう。
この場合だと、呼吸のコントロールを失わず、より効果的なトレーニングができます。
BOLTスコアが向上すれば、より強い息苦しさを我慢でき、血中酸素飽和度も94%以下に下がってきます。
まずは体を慣らすところから始めるということですね
感覚だとあいまいな場合があるので、数値として確認できるといいですね
まずは、簡単なウォーキングからです。
これを10~15分行うだけで、高地トレーニングと同じ効果を上げることができます。
このトレーニングの利点は、場所と時間を選ばず、ケガをしている場合でも行えるということです。
全ての強度の高い運動に共通するのが、食事から2~3時間以上あけて行うことが理想です。
食後すぐだと気分が悪くだけでなく、食べたものを消化するために呼吸が増えるので、トレーニング効果が小さくなります。
食べ物の消化時間は、炭水化物<タンパク質<脂質の順番で増えるので、脂質を多くとった場合は、時間を空けるのがおすすめです。
このトレーニングは、ウォーキング中に息を止めます。
最初の2~3回の息止めでは、酸素の少ない状態に体を少しずつならすため、中度の息苦しさを感じた時点で呼吸を再開します。
以降、やや強い息苦しさを感じるまで我慢します。
脈波伝播時間(心臓の鼓動が手足の先まで届く時間)にはズレがあります。
血中酸素飽和度の低下は、息を止めている最中でなく呼吸を再開した直後に起こるのが一般的です。
そのため、トレーニング効果を最大限活用するためには、息止めが終わってからの15秒間は呼吸を最小限にします。
パルスオキシメーターがあれば、血中酸素飽和度が下がるのを数字で確認できます。
血中酸素飽和度が下がっていれば、高地トレーニングの再現に成功したといえます。
〇歩きながら息を止める
1分間普通に歩いたら、鼻からゆっくり息を吐いて息を止め、中度から強度の息苦しさを感じるまで息を止めて歩く。
そして、鼻で息を吸い、15秒間は呼吸を最小限にして通常の呼吸に戻す
〇30秒歩き、繰り返す
鼻呼吸で30秒ほど歩き、鼻からゆっくりと息を吐いて息を止め、中度から強度の息苦しさを感じるまで息を止めて歩く。
最小限の鼻呼吸を再開し、15秒続けて通常の呼吸に戻す
〇息止めを8~10回繰り返す
歩きながら、1分間に1回くらいのペースで息止めを繰り返す。
息止め、中度から強度の息苦しさを感じたら呼吸を再開し、最小限の呼吸を15秒続けます。
これを8~10回繰り返す。
全部やると、12分くらいかかりますね、これ
通勤中や買い物中、日常のライフスタイルに取り入れてみましょう
ウォーキング息止めトレーニングを行うと、少ない酸素でたくさん活動できる体を効率的に作れます。
最初のうちは、息を止めて歩くのは20~30歩が限界かもしれません。
息を止めて歩く歩数が増えると、息苦しさも軽度から中度、強度へとだんだん強まります。
息苦しさが強くなると、お腹と首にある呼吸筋が収縮したり、けいれんしたりしますが、この収縮は横隔膜にとっていい運動です。
一番重要な呼吸筋である横隔膜を鍛えることにつながります。
長く息を止め、呼吸筋がけいれんするのを感じたら、意識してからだをリラックスさせます。
息止めしている間は体の筋肉の力を抜きます。
こうすると、少ないストレスで息を止めていられる時間を延ばすことができます。
このトレーニングを繰り返すと、数週間もすれば、息を止めたまま80~100歩ほど歩けるようになっています。
体に負荷をかけることなく、息を止める能力を伸ばすことができ、持久力の向上につながります。
しかし、やりすぎは厳禁です。
呼吸を再開したとき、3~4回の呼吸で通常の呼吸に戻るのが理想です。
ある程度の負荷は必要ですが、無理をし過ぎることは禁物です。
呼吸を再開しても脈拍が普通のペースに戻らないなどの症状があったら、強い息苦しさを感じるトレーニングは控えましょう。
その代わり、安静時も運動時も軽い呼吸を心がけるだけでも、健康と運動能力の向上に効果があります。
学校に行くのも体を鍛える機会と考えて実行します
体への負荷は適度にかけましょうね
ウォーキングで十分出来たら、ジョギングやランニング中に息を止めを実践し、負荷を上げてみましょう
〇走りながら息を止める
走り始めてから10~15分経過し、体が温まって汗が出てきたら、ゆっくりと息を吐いてから息を止める。
中度から強度の息苦しさを感じるまでそのまま息を止めます。
息を止めていられる時間は、走る速さとBOLTスコアにより異なるが、10~40歩程度になる。
〇1分間普通に走り、また息を止める
呼吸を再開したら、呼吸がだいたい普通に戻るまで鼻呼吸で走る。
だいたい1分はかかる。
〇息止めを8~10回繰り返す
走りながら息を止めるトレーニングを8~10回繰り返す。
呼吸を再開したら、1ふんほど普通に鼻呼吸する。
息を止めるときに、我慢しすぎないように注意。
呼吸を再開してから、2回以内の呼吸で普通のペースに戻れるのが望ましい。
このエクササイズはきつすぎると感じるなら、または息を止めた後で普通の呼吸に戻らなかったら、BOLTスコアが最低でも20秒になるまでトレーニングを中止する。
ランニングになると、一気に苦しくなるぞ!
確かにきついですが、効果はバツグンです
自転車に乗っている時も、同じような息を止めるトレーニングを行うことができます。
・体が温まったら、息を吐いてから息を止める(ペダルを5~15回こぐ)
・鼻で呼吸を再開し、そのまま1分程走り続ける
・このトレーニングを8~10回繰り返す
チャリ通だから、これは使えるね
部活動でみんなと差をつけるには、ここでつけられます
水泳は、呼吸が自由にできない唯一のスポーツです。
顔が水につかって、水圧によって呼吸がしづらくなるという理由もあります。
水泳中は口呼吸が適しており、鼻呼吸だと水を吸い込む危険があります。
水泳に息を止めるトレーニングを組み込むには、息継ぎの回数を減らすという方法があります。
息継ぎの間のストロークの回数を、3回、5回、7回と少しずつ増やしていきます。
元オリンピック水泳選手で、トライアスロン選手のシェイラ・タオルミーナ選手も、このトレーニングを実践していたそうです。
タオルミーナ選手は、2000年シドニーオリンピックに出場し、1.5キロスイムで最も速いタイムを記録しています。
彼女が言うには、呼吸を減らすトレーニングのおかげで、水泳選手は少ない酸素でたくさん泳げるようになるとのことです。
息を止めるトレーニングは血液に作用するだけでなく、泳ぐ技術の向上にもつながります。
水泳選手が息を止めるトレーニングを実践したところ、最大酸素摂取量が向上しただけでなく、1回のストロークで進む距離も伸びたようです。
息継ぎの回数が減れば、その分泳ぐためのスピードを維持することにつながるため、結果として記録が出ます(特に自由形)
水中競技は特殊で、口呼吸が中心です。
低地における血中酸素飽和度の正常値は、95~99%です。
低酸素トレーニングで効果を出すには、血中酸素飽和度を94%以下に下げる必要があります。(理想は90%以下)
トレーニング中の血中酸素飽和度と低酸素状態にさらされる時間で、効果が表れます。
血中酸素飽和度が90%以下の状態を1~2分続けると、EPOの生成量が劇的に増えます。
このトレーニングを行う場合は、事前に医師に相談しましょう。
健康状態、フィットネス状態が完璧で、BOLTスコアが30秒以上で激しい運動に慣れている人が行いましょう。
かなり過酷なトレーニングになります。
このトレーニングの目的は、血液の成分構成を調整し、酸素と二酸化炭素のレベルを変えることです。
具体的には、ある程度の強さの息苦しさを感じる状況をつくることで血中酸素飽和度を下げ、その下がった状態を30秒~2分間保持することです。
ここでの注意点は、血中酸素飽和度が80%を切らないようにすることです。
91%未満の状態をおおよそ24秒間保持すると、EPOは最大で24%増加します。
保持する時間を136秒まで延ばすと、EPOは36%増加します。
- 質の高いパルスオキシメーターを使う
- 空腹時に行う
- 最初に息を止めるときは、40~60歩、または中度から強度の息苦しさを感じるまで歩く
- 最初の息止めが終わったら、次は5~10歩ごとに息を止める
- それぞれの息止めが終わったら、鼻から息を吐くか、スッと鼻で小さく息を吸ってまた息止めする
- スッと小さく息を吸うのは、水をちょこっと飲むくらいの感覚で、1回にごく小さくすう(緊張を取り除くのが目的で、通常の呼吸の10%ぐらいの量)
- 息苦しさが強くなると、横隔膜の収縮も強くなる(身体がリラックスするように意識する)
- 息止めを繰り返す間、血中酸素飽和度は下がる
- パルスオキシメーターをよく見て、80%を切らないようにする
- このトレーニングを1~2分続ける
負荷をかけ過ぎないように、息苦しさが強くなり過ぎたら少しだけ大きく呼吸をして、体をリラックスさせる
この方法はトレーニングなので、普段から運動をしていない人はウォーキングのみでも十分でしょう
ですが、ストイックに追い込む場合は、ランニング中にも行い、常に記録を出せるように、ライフスタイルのなかにトレーニングを組み込むことが重要です。
呼吸法についてのまとめです。
- 息を止めるトレーイングは、50年以上も前からトップアスリートは実践している手法
- 質のいいパルスオキシメーターを準備することで、トレーニング効果を実感できる
- 低地での血中酸素飽和度は95~99%
- 血中酸素飽和度が80%以下になったら危険領域
- トレーニングは負荷をかけすぎず、我慢しすぎない
- 水泳の場合は、口呼吸を中心とする
- 十分に息を止めている時間が長くできてから、更に厳しいトレーニングを行う
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随時更新していきます。
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