この記事はこんな人におすすめ
- 腸活が大事って聞くけど、なんで大事なのか知りたい
- たかが便秘だけど、便秘だと体にどう悪いのか知りたい
- 最近風邪を引きやすく、体の疲れがとれずに悩んでいる
腸内環境が全て!
食べ物を食べたら、体は消化・吸収・排便のプロセスを行いますが、その中でも腸の働きは大きいです。
また、病原体やウイルスから身体をまもる免疫機能も備わっているため、腸内環境を整えることは、体を守ることにもつながります。
最近調子が悪いと思ったら、まずは腸内環境を見直すところはからはじめましょう。
このブログは、以下の書籍を参考に、自分の考えと経験を加えながら書いています。
腸(腸管)は、口から肛門まで一つながりにになっている「消化管」の一部です。
腸は、消化管の大部分を占め、構造的には「小腸(十二指腸・空腸・回腸」と「大腸(盲腸・結腸・直腸)」に分けられます。
腸が担っている一番の役割は、食べ物を消化・分解し、栄養や水分を吸収し、残りかすを便として排泄する「消化・吸収・排泄機能」です。
腸はお腹の中にコンパクトに収まっていますが、内側の直径が2~7㎝、全長8~9m、表面積はテニスコート一面分(約200㎡)以上あるとされています。
この巨大臓器の中で、食べ物の消化・吸収・排泄が行われ、生きていくために必要なエネルギーが生み出されています。
また、腸は白血球が多く集まる臓器であり、新型コロナウイルス感染症、食中毒、ガンなどを防ぐ「免疫機能」の中心的役割を持っています。
腸は、このように私たちが生きていく上では欠かせない臓器であり、大切にケアする必要であるのです。
腸は体を守る防御機能が備わっているんですね
排泄できないと、いつまでも体の中に不純物がたまっている状態です
腸がなぜ8~9mもあるかというと、それだけ消化・吸収・排泄に時間がかかるからです。
腸で行われている消化・吸収・排泄の過程は次のとおりです。
- 口から食べ物が入る
- 胃で攪拌(かくはん)され、胃酸で食べ物が溶かされ、十二指腸に送られる
- 栄養は主に空腸や回腸で吸収される
- 消化物の残りかすが大腸に送られる
- 大腸で腸内細菌によって発酵され、塩分などのミネラル(無機栄養素)や水分の吸収が行われる
- 大腸では約9ℓ(1日2ℓの水分補給+消化管が分泌する消化液)もの水分を吸収し、液状だった消化物は便に変わり、排泄される
食べ物が消化管にとどまっている時間は、胃に約4時間、小腸に約2時間、大腸に約18時間以上(通常、便は1日2回~2日に1回排泄される)とされています。
消化・吸収・排泄までには、このようなプロセスをふむので、とても時間がかかるのです。
ちなみに、食後にお風呂に入ると消化不良を起こすと言われているのは、胃での消化が終わっていない状態で、体の表面に血液が集まってしまい、胃腸で消化に使うエネルギーが確保されず、胃の蠕動運動が停止するからです。
お風呂は、食後は少なくとも、2時間程度は空けたほうがいいでしょう。
〇時間労働、と考えると、胃腸の頑張りがわかりますね
排泄を手助けしてくれるのが、食物繊維ですね
消化管の中では、小腸が食べ物の消化・吸収で中心的な役割を担っています。
全長8~9mある腸の中では7m程度占め、そこで食べ物に含まれる様々な栄養が分解され、吸収されます。
胃から十二指腸に送り込まれたどろどろの消化物は、胆のうから分泌される「胆汁」、すい臓から分泌される「すい液」に混ぜられます。
胆汁は脂肪を分解します。
すい液は弱アルカリ性で、糖やたんぱく質を分解するほか、胃酸に溶けて酸性になった消化物を中和します。
十二指腸での消化が終わると、次は空腸・回腸へ送られて栄養が吸収されます。
空腸は十二指腸以降の小腸の前半部分で、回腸は後半部分です。
どちらも内側の腸管粘膜から消化酵素を分解して栄養を最終的に分解し、腸管粘膜の表面にある「絨毛」というビロードのような無数のヒダから吸収されます。
空腸と回腸の腸管粘膜の表面が絨毛でおおわれているのは、消化物と接触する面積をできるだけ増やし、効率よく吸収するためです。
消化物が直径やく2㎝の小腸を滞りなく通過できるのは、「蠕動(ぜんどう)運動」(簡単に言うと、縮めたり広げたりして移動させている)をしているおかげです。
また、食べ物と消化液をまぜる「分節運動」、まぜながら移動させる「振り子運動」を組み合わせることもあります。
こうした先送り運動は、大腸でも行われます。
一般的に、1年間に小腸で消化・吸収される食べ物の量は約1トンと言われています。
消化液も含めると、1日あたり約ℓの消化物(大部分は水分ですが)が小腸を通過します。
栄養を吸収するって大変なんですね
食べ物を消化するのにも、エネルギー(カロリー)を使っています。
小腸とつながる大腸は、全長約1.5m(腸内に消化物や便の有無で長さが変わる)の消化管です。
大腸は小腸に比べて短いですが、直径は小腸の2倍以上あり、人体の中でも大きな部類に入る臓器です。
大腸の役割は、便を作るのと、便を排泄することです。
- 小腸から盲腸を経由して、結腸に消化物が送り込まれる
- ①でミネラル(無機栄養素)や水分が吸収される
- ②の残りかすを腸管粘膜の粘液層に生息する腸内細菌の働きで分解と発酵をする
- 最後に、直腸に送られて肛門から排泄される
※結腸は、「上行結腸」「横行結腸」「S状結腸」で構成され、それらを通過するときに発酵が進み便が作られる
大腸の入り口の盲腸は、セルロースという食物繊維を分解する消化管であり、草食動物は発達していますが、人間の盲腸は退化しており、その役目はほとんど果たしていません。
盲腸の端にあるのが虫垂であり、ここが細菌感染して発症する病気を虫垂炎といいます。
食べたものを排泄する環境も整えないといけませんね
ちなみに、ミネラルと水分は全然違いますので、勘違いなさらないように
小腸から大腸に送り込まれた消化物は、最初は固形ではなく液状です。
それが上行結腸から横行結腸に消化物が移動すると粥状(じゅくじょう)になり、横行結腸から下行結腸に移動すると固形化されます。
つまり、消化管から徐々に水分が吸収され、便の形になっていくということです。
便は固形化していきますが、完全にガチガチに固くなるわけではありません。
排泄されるばかりになった直腸の便でも約75%が水分で、固形成分は約25%程度です。
排泄時の便の水分が80%を超えると下痢になります。
大腸での便の滞在時間が短くても水分量が多くなり、軟便や下痢になることがあります。
便の排泄量には個人差がありますが、目安は1日あたり100~250gとされています。
健康な人の排便ペースは1日2回から2日に1回です。
3日間排便がない場合は便秘とみなされ、おなかの張りや腹痛などの自覚症状があれば、一度病院でみてもらったほうがいいでしょう。
便のペースや状態で、健康状態がわかるということですね
食べたもの、あるいは精神状態が影響している可能性が高いです
腸で行われる食べ物の消化・吸収において、最後の仕上げになるのが便の形成です。
便は、主に大腸に棲む「腸内細菌」の働きで消化物を発酵して作られます。
大腸の腸管粘膜の表面は、厚さ0.1mmの粘液層におおわれています。
この粘液層には、1000種以上100兆個以上の腸内細菌が棲みついており「腸内フローラ」という細菌叢(さいきんそう)を作っています。
腸内細菌の約9割以上は大腸におり、残り1割は小腸に棲んでいます。
腸内細菌には次の3種類があります
〇善玉菌・・・・健康に有益な働きをしてくれる
〇悪玉菌・・・・健康にマイナスの影響を与える
〇日和見菌・・・善玉と悪玉、多いほうに味方する
※コレステロールにも善玉(HDL)と悪玉(LDL)がありますが、こちらは働き方の違いがあり、健康上どちらも必要です。
これらの腸内細菌は私たち人間と共生関係にあり、消化物を発酵するときに増殖し、様々な物質を生み出して体の健康状態に影響を与えます。
その影響とは、酵素(体内の化学変化を助ける物質)やビタミンが作られるという事です。
腸内細菌が生成する酵素の中で重要なものは「消化酵素」です。
本来人間に備わっている消化酵素だけでは、難消化性の食物繊維を分解できませんが、腸内細菌の1つである善玉菌はこれを分解できます。
腸内細菌が生成する酵素の力で、体の消化能力がアップします。
腸内細菌は、ビタミンB群やビタミンKを生成します。
ビタミンB群には、糖質・タンパク質・脂質の代謝を促したり、神経の修復、皮膚、髪、爪の健康を助けたり、様々な作用があります。
ビタミンKは、血液の凝固防止や骨の代謝に関わってきます。
ほかにも腸内細菌は、抗加齢成分のポリアミンや抗酸化作用を発揮する水素などを作ります。
腸内細菌の働きを活性化させるには、腸内環境を整えることが必要です。
善玉菌を増やして、悪玉菌を減らすのがコツなのか
だから、発酵食品を食べることが大切なんですね
腸は、病気から身体を守る免疫に深く関わっています。
免疫力は、病原体やがん細胞を攻撃する免疫細胞の働きによって発揮されます。
免疫細胞には、樹状細胞、マクロファージ、T細胞、B細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞などがあり、これらはいずれも白血球やリンパ球(白血球の成分)の仲間です。
通常、免疫細胞は、血液やリンパ液(細胞から余分な水分や老廃物を運ぶ無色透明の液)の流れに乗って、体に異常がはないかパトロールをします。
ですが、全身に均等に分布しているわけではありません。
免疫細胞の約7割は腸に集中し、内訳は、小腸に約5割、大腸に約2割いると考えられています。
免疫細胞が集中している小腸には、腸管粘膜の表面に「パイエル版」という免疫器官が多数存在しています。
腸管粘膜の表面には、栄養を吸収する絨毛というヒダがありますが、この絨毛がない平坦なところにパイエル版があります。
このパイエル版が、病原体やがん細胞をせきとめて退治する役目を果たし免疫力を発揮する一大拠点となります。
一方で、大腸にはパイエル版はありませんが、腸管粘膜に棲みついている腸内細菌が免疫力に影響を与えるため、腸内環境を整えることは、免疫力の増強につながります。
腸を含む消化管は、体外と直接つながっているため、このように免疫機能が集中しているのです。
消化管のスタート地点の口からは食べ物だけでなく、細菌やウイルスなどの病原体も入ってきます。
口から侵入した病原体の多くは胃酸で溶かされて死滅しますが、中には生き延びて腸に到達するものもいます。
この病原体を見過ごしていたら、体は健康を害してしまいます。
なので、腸は病原体の侵入を防ぐ最終防衛ラインとして、免疫機能を多数備えているわけです。
だんだん、腸を整えることの意義がわかってきましたね
食中毒予防のためにも、腸は整えないといけません
誰でも、不安やストレスを感じた時、お腹が痛くなったり、下痢になったりした経験はあるでしょう。
これは、脳と腸が相互に深くかかわっている「脳腸相関」があるからです。
実際に、うつ病の患者は、過敏性腸症候群(IBS)の診断基準に該当しなくても、下痢や便秘といった腸のトラブルに悩んでいる人が多いそうです。
そうしてマイナスの心理的な影響を打ち消す働きが、腸にはあります。
1つ目に、幸せホルモンとも呼ばれる「セロトニン」を生成します。
セロトニンは情緒に影響し、心身を興奮させるノルアドレナリンやドーパミンなどほかのホルモンの働きを抑えます。
その結果、心が落ち着いて幸せな気分になったり、やる気が湧いて前向きになれたり、朝の目覚めもよくなります。
一般的にセロトニンは、脳内ホルモンの一つとなりますが、脳で作られる割合は2%です。
セロトニンの多くは腸で作られています。(残りは血液中の血小板で生成)
腸でつくられたセロトニンは、腸内にある受容体を刺激したり、血液を介して脳に到達したりします。
2つ目は、抗ストレス作用のある「GAVA」(γ-アミノ酪酸)を生成します。
GABAはアミノ酸の一種で、トマト、メロン、パプリカ、ブドウ、バナナなどの食品にも含まれ、神経伝達物質として機能します。
GABAには、セロトニンと同様に興奮を引き起こすホルモンを抑え、脳や脊椎の働きを穏やかにする作用があり、高血圧の予防や睡眠障害の改善に役立つこともわかっています。
GABAは、腸内細菌の一部から産生されることも確認されています。
ちなみに、スーパーで売られているのだと、チョコレートにGABAが含まれているものだと食べやすいですね。
セロトニンやGABAは最近よく聞きますね
人生の幸福感を上げるにも重要ですね
腸は脳だけでなく、ほかの臓器ともネットワークを作って連携しています。
例えば、便秘の人は、腸内で腎臓に悪影響を及ぼす物質が作られ、腎臓病にかかりやすくなります。
腸腎連関とも呼ばれ、専門家の間でも話題になっているそうです。
腸は全身の臓器と密接に連携しながら、身体機能のバランスを調整して、健康を保ってくれています。
臓器 | 効果 |
脳 | 脳腸相関によって互いに影響 |
心臓 | 腸の状態によって心拍数が増減し、腸内の血流を変化 |
肺 | 深い呼吸で自律神経の副交感神経が優位になり、腸の蠕動運動を促す |
胃 | 腸内を掃除するMMC(伝番製消化管収縮運動)のスイッチ |
脾臓 | 体内の免疫をコントロールし、腸の免疫機能からも間接的に影響を受ける |
肝臓 | 小腸で吸収された栄養の一部を蓄える |
腎臓 | 腎臓を保護する腸内細菌があり、腸内環境の悪化で連動して影響をうける |
副腎 | 腸内で炎症が起こると、ストレスホルモンのコルチゾールを大量に分泌し、その結果で機能が低下すると慢性疲労の原因になる |
胆のう | 腸内に胆汁を分泌し、腸内で悪玉菌が増えると、胆汁が有害な二次胆汁酸に変化 |
すい臓 | 腸内にすい液を分泌 |
みなさまは最近体の調子はどうですか?
もし体調が優れないということでしたら、腸が原因かもしれません。
体は自分の資本であるので、食べ物で身体を労わることも大切です
腸活についてのまとめです。
- 腸は、消化・吸収・排便の機能を備え、体を守る大切な器官
- 食べ物を消化・吸収するには、時間がかかる
- 腸は年間で1トンもの食べ物を処理している
- 3日排便がなければ便秘を疑い、病院でみてもらうほうがいい
- 腸内環境は、善玉菌を増やして悪玉菌を減らすことが大切
- 腸は免疫機能が多く備わる、体の最終防衛ライン
- 腸内環境を整えて、幸福感やストレス耐性が身につく
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