質問をするときに、漫然とした質問やするどい質問といったものがありますが、漫然とした質問は実はあまり質問になっていないことが多いです。
質問をするということは、何かを聞き出したいということですが、聞き方次第では、何も得られずに終わることもあります。
この記事はこんな人におすすめ
- 相手に聞いても、思ったような答えが返ってこない
- 質問をしているだけなのに、なんか相手の視線が厳しい
主人にいつも料理の感想を求めているんだけど、漫然とした答えしかかえってこないのよね~
それはおそらく、質問の仕方に原因があるのかと思います。
「この料理どう?」と聞くだけではだめですよ。
↓文章を読み上げてくれます(.WAV)
質問とは、常に目的があるものです。知りたいことを聞くだけでなく、その質問によって相手の注意を引き付けたり好意を獲得したいとき、また、質問によって相手に何か気づかせたい時などです。
どの場合にも、漫然と質問をするか、するどい質問をするかによって、その効果には天と地ほどの差が出ます。
たとえば、仕事仲間と、注目を浴びているビジネス本の話題になったとします。相手にとっては、その本を今後の仕事や人生で活かしてもらいたいという心情があります。そんな思いがあっても、ただ漫然と「その本どうだった?」と聞いても、その思いは伝わりませんし、答えるほうも漫然としすぎて答えづらいです。
そんなときに「その本で一番勉強になったのはどこだった?」「その本で、仕事に活かすとしたら、どうすればいいかな?」といった聞き方をすれば、単に読んだだけでなく、具体的な行動を起こすことにもつながってきます。
この時のポイントは2つあり、
- 具体的な質問をする
- 質問の目的を見定め、論理的につきつめる
ということです。
先ほどの話しでいうと、1つ目は、今の仕事と本の内容を結び付けるために思考が具体化され、本で読んだことと現実の仕事をつなげます。
2つ目は、「本で学んだことを今後活かしていけるように」という目的で話すのなら「本で学んだこと」と「学んだことを今後の仕事に活かす」ことを論理的に結び付けなければなりません。
そのために、まず、学んだことを明確にし、それと現実問題を論理的に結びつける質問をする必要があります。
このように、目的を見定め、その目的を達成するために論理的に突き詰めていくことで、するどい質問ができるよになります。
漫然とした質問といえば、
この商品はどう思います?
この仕事どう思います?
という、どう思いますかシリーズですね。
漫然とした質問だと、「いいですね~」とか、こちらも漫然とした回答しかできないか、答えられないかのどちらかになるかと思います。
ですが、相手のことを熟知した親友同士とかなら、また話は別なんですけどね。
さらに、相手の考えをいろいろな場面に当てはめてやると、本人が今まで想定していなかった思考が働きます。たとえば、普段の会話の中でも、
「先ほどの○○という考えを、××に当てはめると、どうなるだろう」というように、ひとつの考えを色々な場面に当てはめてみる。「横展開」というこの質問は、もし話し手が想定していなければハッとします。
本人がきづいていない質問は、相手に気づきを与える質問もあります。そうした質問によって、話しはさらに深みを増していきます。
こうした質問は、相手の話しをただただ漫然と聞いているだけではできないでしょう。
常に相手の話しを聞きながら、同時にそれを論理的に突き詰める作業が必要となります。
一朝一夕にできることではありませんが、いつも心がけておくことで、するどい質問がいつでも簡単に繰り出せるようになります。
ミステリードラマでも、自問自答で横展開して気がつく、というパターンもありますね
論理的に考えるのはメリットはたくさんある一方で、漫然と考えるのは展開しずらい思考法です。
ダメな質問方法として、ここでひとつ小話をします。
とあるIT機器関連の企業があり、今年の人事異動でカスタマーサービス部から、営業部の課長に就任した子糸さんがいました。彼は、異動直後、すぐに気になることがありました。
それは、部員が出す営業日誌に具体的な記載が極めて少ないことでした。「〇〇社と会議」「××社に納品」など、大雑把な行動記録した記載されていませんでした。
当然、この状態では案件の進捗状況や売り上げの把握が難しく、いちいち 子糸 課長が、各営業部員に直接聞かなければわからない状態でした。
そこで、 子糸 課長は、営業部員の一人である、伊さんを呼び出しました。
伊さん、なんでこんな適当な営業日誌を書いているんだい?
今までそうやってきて、何も指摘がありませんでした。
今後は全員、営業日誌にその日の営業状況、交わされた会話の内容や具体的な数字を含めて詳細に記載して提出するように皆に伝えてくれ。
それは、私たちが営業していないと疑っているという事でしょうか。
そうではない。情報は共有するものだろう。
それでは、あすから実行するように!
(・・・っち。窓際課長が!)
というように、子糸さんの思惑とは裏腹に、部員たちは「今度の課長は俺たちを信用していないらしく、行動を逐一報告させて管理しようとしている」と話しがながれ、不信感を抱いていしまいました。
子糸課長は、いきなり相手を糾弾(きゅうだん:咎める、問い詰める)するような聞き方をして、自分の意見を通すばかりで、相手の事情を聞こうとしませんでした。これでは、意見が一歩通行のみで失敗を招きます。
子糸課長のような失敗をしないためには、どのように質問をすればいいのでしょうか。
コミュニケーションは、お互いの異なる考え方をつなぐもの。相手のことを考えなければうまくいくものもうまくいきません。
聞き方一つで、話しの進み方は全く異なってきます。
それでは、時を戻して、子糸課長が伊さんを呼び寄せたところまで戻りましょう。
伊さん、前任の課長は、部員の営業状況はどうやって把握していたんだい?私は引継ぎを受けておらず、全然把握できていないんだ。
はい。今までは、簡単な営業日誌を提出していました。あとは、悩んだ時に、課長に聞きに行くくらいです。成約したときに、報告を上げることになっていましたので、それで把握していたかと思います。
そうか。自由な感じを受けるけど、そういう管理体制で良かった点はどこだった?
自由にやらせてもらえるので、自分の力を発揮できると思います。上司からも信頼されていると感じ、仕事がしやすい環境だと感じていました。
私が部員でもそう感じるだろうな。では逆に、困ったことはあった?
時点ごとに営業の進捗状況全体を把握している人がいないので、営業部員の間はバラバラ感はでていました。ほとんど個人で働いている印象ですね。
では、そのデメリットを防ぎながらも、先ほどのメリットを発揮するには、なにかアイデアはあるかな?
任せていただくのはありがたいですが、詳しい営業状況は課長に把握してもらったほうがいいので、営業日誌を詳細に書くようにするのも一つの手段だと思います。指示を仰ぐのでなく、報告という形にすれば、本人の自主性は守られるかと思います。
ではそうしようか。皆を集めて。
こうして、この日以降、営業部員たちは毎日詳細な営業日誌を提出することになりました。
その結果、子糸課長は、部員の営業状況を随時把握することができ、皆も合意の上で行っているので反感を買うこともありませんでした。
子糸課長は、自分の意見を言う事もなく、自分が思う通りの結果を手に入れましたとさ。
おわり。
このように、相手に質問を投げかけて、相手に考えさせて、自分で答えを出させることで、両者納得の上で合意が得られました。これも、質問をする力となります。
ただ、当然このように上手くいくとは限らないので、質問者のほうで、ある程度、誘導する時も必要です。あるいは、課長が意見をまとめて、そこから論理的に答えを導き出す方法もあります。
質問というのは、漫然とした聞き方をしても、思うように答えはもらえません。特に、「〇〇について、どう思いますか?」という聞き方は、答える方も答えにくい質問の一つです。
また、質問をするにしても、自分の意見のみを主張するのはおすすめしません。部下に指示を出す場合でも、まず、何故そのような方法を取り入れているのか、といった意見を聞き出す必要があります。
一方的な指示や意見は、相手から反感やヒンシュクを買います。
もちろん、結果からみるとそれで上手くいくときもありますが、リスクのある方法でもあります。
相手のことを思うのであれば、まず相手の意見を聞き出して現状を把握することが重要です。
ここからは、このシリーズのまとめページに飛びます。
随時更新していきます。
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