この記事はこんな人におすすめ
- 情報を集めたが、結局なんだかわからないデータしか集まらなかった
- 情報のモレやダブりを作りたくないが、上手くできずに悩んでいる
- データを集める時のコツを知りたい
情報はどんな視点でみるかが大切です
問題解決するとき、収集した情報に誤りがあったり間違えていたというのは論外ですが、情報の集め方や収集の仕方がそもそも間違っていることもよくあります。
自分が何をしたいのかを明確にしたうえで情報を集める必要がありますが、「モレなく、ダブりなく」を意識して行うことが重要です。
偏った情報や考え方のもとにならないように、情報そのものへの理解を深めましょう。
このブログは、以下の書籍を参考に、自分の考えと経験を加えながら書いています。
例えば、こんな問題を抱えていたとします。
・あるレストランで来店客の数が減ってきたと感じた時、どうするか?
・ある職場でコミュニケーションが十分とれてないと感じた時、どうするか?
ここでいきなり、具体的な来店客促進案を実行したり、コミュニケーションの活性化案を実行はできないかと思います。
漠然とした状況なので、どのような手段が有効なのかがわからないからです。
そんな中で、思い付きの案をアクションに移すと、かえって逆効果になったりします。
こうした漠然とした状況では、まず問題点を切り分けて、より具体的に状況を捉えられるようにするのが基本です。
飲食店の来店客の場合は、性別、年代別、個人orグループ来店率、新規orリピート率、時間帯別などの観点から、とくに来店客が減少しているのは具体的にどういった部分かを把握します。
職場でのコミュニケーションも同様です。
コミュニケーションの量が少ないのか、無駄な喋りはないのか、メンバー全体or一部で不足しているのか、メールor対面の割合など、いくつかのパターンに分けて考えて把握します。
そうすると、より具体的な対処ができるようになり、ピントが外れることは少ないです。
漠然とした状況なら、状況をいくつかに分けて考え、頭の整理から始めましょう。
その場しのぎの対策では根本的解決になりませんね
考えられる状況が多いと、その分解決のヒントも多くなります
問題を分けたい時に意識することは、MECE(ミッシー、ミーシー)です。
簡単に言うと、情報の「モレなし、ダブりなし」を意識するということです。
このMECEの考え方は様々なところで取り上げられているのでご存じの方は多いと思いますが、物事を切り分けて具体的にするときに活用する考え方です。
たとえば、データを分ける際に重要そうなデータだけを取り上げて残りを使わなかったら、データの一部が欠いた「モレのある状態」になります。
欠けた部分に重要なデータが含まれている場合、重要な見落としが発生します。
また、分ける際にデータが被っていたら、ダブっている部分が強調されてしまい、データの捉え方にゆがみが出ます。
データとしてそもそも仕えなさそうですね
間違えた情報では錯綜してしまいます
MECEを意識した分け方は広く使われていますので、目にしている方も多いと思います。
ですが、実際使うとなると、上手くいかないことがあります。
たとえば、飲食店の来店客の例でみてみます。
MECEで情報を切り分けようとして「会社員、学生、付近の住民」といった分け方にしてみましょう。
この分け方ですと、「近くに住んでいる専業主婦」はどこにも属しません。
また、「付近に住んでいる会社員」はどちらの部分にいれればいいかわかりません。
これは「モレあり、ダブりあり」の状態となります。
頭の中で実際の具体的な来店客をイメージして作ってしまうと、こうなってしまいます。
考えられる要素だけをピックアップすると、モレやダブりが発生しやすいです。
それでは、先ほどの飲食店の来店客について、切り口を変えて考えてみます。
性別(男性・女性)、年代別(20歳未満、20歳以上、30歳以上・・・)、といった分け方であれば、MECEであることがわかります。
この分け方は、思い浮かべたものを取り上げておらず、「ある一つの観点」で切るように分けています。
このように、対象を切り分けると、モレやダブりが起こることはあり得ません。
MECEに切り分ける際は、切り口をハッキリさせるのがコツです。
飲食店で、会社員をメインターゲットにして経営しているとしましょう。
この場合は、年代別や性別で切り分けても、近隣住民なのか、会社員なのかが分かりません。
まず、会社員かそうでないかを判断するため、例えば服装で、普段着=住民、スーツや作業着=会社員と切り分けて考えてみてもいいでしょう。(実際に服装だけでは確実に判別できませんが)
ここで、自分の経営方針と実際の顧客層のズレを確認できるので、対策を考えることもできます。
1つのカテゴリーだけで切り分けるってことですね
「その他」という項目はなるべく使わないようにします
MECEは、考え方としてはシンプルです。
しかし、スッキリと分けられるものもあれば、そうでないものもあります。
「職場のコミュニケーション」の場合ですと、切り口はどのように考えればいいでしょうか。
先ほどの、性別や年代別で作ることも可能ですが、違った観点の切り口もあります。
例えば「質」と「量」ですね。
このケースでは主に2つ、考える際のヒントがあります。
①「質」と「量」、「ソフト」と「ハード」など、対立する概念を使うとMECEになりやすいです。
ただし、範囲が広すぎると、MECEに当てはまらなくなる可能性もあります。
②「あるもの」と「それ以外」も立派な切り口です。
いわゆる、「俺か、俺以外か」的な発想ですが、これであれば、MECEから外れることはありません。
しかし、実際にデータを切り分けられない、という風になってしまうと意味がありません。
大事なのは、実際に使えるデータにすることですね
MECEを意識しすぎて、意味のないデータを作ってはいけませんね
同じ切り分け方でも、分けようとしているものによって、切り口として適切な場合とそうでない場合があります。
例えば、「ゴルフ選手」を分ける際に、「プロ」と「アマ」という分け方はMECEになります。
ですが、「スポーツ競技」を分ける場合、「プロ」と「アマ」という分け方はMECEになりません。
プロ競技とアマ競技がある場合は、どちらの競技になるかが分けられないからです。
スポーツ競技を分けるのに「プロ」「アマ」という切り口は適切ではないということです。
この場合は「プロのある競技」「アマのある競技」という分け方が適切です。
つまり、何を分けるかによって、MECEになるかならないかが変わります。
年代や性別と言った、シンプルな切り口以外は、自分でMECEになるかをチェックしなければなりません。
「この切り口は絶対MECEだ」という先入観は捨てましょう。
切り口は様々なものがあるので、正解はありません。
知りたいのは、切り口にあるその先です。
切り口というのは、ものの見方ということになりますので、情報やデータをどのような視点でとらえたいかによって、切り口は変わってきます。
ひとつの切り口に固執するのではなく、現状、どのような状況で、どのような視点でみれば問題解決につながるかを考えていく柔軟性が必要です。
ミクロ視点とマクロ視点で、情報を切り替える必要がありますね
集めた情報で問題が浮かばない場合は、視点の高さが合ってないかもしれません
MECEという考え方を拡張させると、切り分けるときの考え方も広がります。
データをMECEに分ける基本は、足し算的に分けるものでした。
自社の会社員の数を切り分ける時「男性」と「女性」に切り分ければ、それは全社員の人数になります。
この考え方を応用して、足し算以外にも、引き算、掛け算、割り算を活用してデータを切り分けることができます。
実際、社会人であれば自然にこうした切り分け方をしていることが多いです。
例えば、「任〇堂の利益が倍増」という記事があった場合、その記事には「海外での売上増加」や「コスト削減企画が成果」など、サブ見出しがつくことが多いです。
これは、暗黙のうちに利益を「売上-経費」という引き算で分解しているからです。
掛け算や割り算も同様です。
このような観点で分けられると、表面には浮かんでこない要素で分けることもでき、「こういった見方もできる」という考え方に繋がります。
ですが、かけあわせるものは表面には浮かんでいないので、かけあわせのパターンを理解して表面化することができます。
データマンに俺はなる!
自然とやってきたことを意識すると、考え方が変わりますね
それでは、ここでは主に2つの掛け算をご紹介します。
人件費は人数ベースでみれば、人数と1人あたりの人件費との掛け算になります。
ある部署の残業時間も人数ベースでみれば、人数と1人あたりの残業時間の掛け算です。
このパターンで、「あるもの」を設定すれば、例えば次のような様々なパターンの掛け算ができます。
売上高という観点からみてみましょう。
社員=社員数×1人当たりの売上高
労働時間=総労働時間×1時間あたりの売上高
営業所=営業所数×1営業所あたりの売上高
お客さん=客数×客単価
商品=商品の販売数量×商品1つあたりの単価
この、あるものを何とするかが重要です。
このパターンで売上高を分ける場合、あるものは会社にとってカギである必要があります。
サービス業のように、顧客と接する人が多いような業界は「社員数×1人あたりの売上高」や「総労働時間×1時間あたりの売上高」が重要です。
個人店や全国展開しているなど、状況によって見方が変わります。
他にも、「店舗床面積×面積あたりの売上高」「商品の販売数量×商品1つあたりの単価」など、観点はたくさんありますので、それぞれの視点で見てみましょう。
理論上の最大値を設定して、現在その何割に達しているかという観点での掛け算です。
たとえば、売上高は理論上はその業界の市場規模が最大値になるので、その何割を占めているかを出せればいいです。
つまり、業界の市場規模と市場シェアの掛け算です。
自分の目標でも当てはめられ、「自分の実績目標×目標達成率」で掛け合わせ、どれくらいの進行度かがわかります。
また、設定する最大値にもバリエーションはあります。
たとえば、東京大阪便の飛行機の利用者数を分けることを考える例をとってみましょう。
総席数でなく、利用者に当てはめてみる
同じ路線=同じ路線の利用者×利用率
目的地へ移動する人=大阪へ向かう人×利用率
当日の飛行機善利用者=当日の飛行機善利用者×利用率
首都圏在住者=首都圏在住者×利用胃率
これらのパターンのうち、どれが意味のあるものになるかは、何を知りたいかによります。
同じ路線の利用者×利用率なら、他の航空会社と比べてどれくらい優位になっているかがわかります。
また、その数値を出して意味があるかも確認しておきましょう。
あまりにも狭い範囲での割合を出しても、数値が小さくなりすぎるので意味合いが薄れてしまいます。
重要なのは、何を知りたいかですね
データを活用する目的を忘れないようにしましょう
情報というものは使ってこそ価値がでてきますが、使い方によってはお粗末なものにも変化します。
とくに、情報収集は自分が何を知りたいか、どの視点から知りたいかが分かっていないと、情報の意味がなくなります。
私もMECEは意識していますが、たまにできてない時があります・・
思考についてのまとめです。
- 情報は「モレなし、ダブりなし」のMECEを意識する
- MECEを使う時は、観点を1つに絞る
- 切り口次第で、MECEはいくらでも使いようがある
- 具体的過ぎるイメージではMECEは使えない
- 切り口のパターンを増やすことでデータも利用できる
- 情報をかけ合わせて、見えていないデータを表面化させる
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