この記事はこんな人におすすめ
- 少量のお酒は薬と言われているから、飲んでも大丈夫だと思っている
- GABAを信じて摂取すれば、よく眠れると思っている
- 夜トイレに起きるのが不安で悩んでいる
薬やお酒の服用は弊害がつきます
GABAと聞くと睡眠にいいイメージがありますが、実は効果の程は定かではありません。
プラシーボ効果として使うのであればいいのですが、GABA自体が直接脳に作用するとは考えにくいと言われています。
睡眠薬は直接入眠に作用しますが、健忘などの副作用があることは認識しておきましょう。また、お酒を飲んで入眠しても、体と脳のメンテナンスが行われず疲れが取れません。
薬やお酒の力に頼らずとも、人間は生活習慣で安眠を得ることができます。
このブログは、以下の書籍を参考に、自分の考えと経験を加えながら書いています。
睡眠に良い、ストレスを和らげるなどの効能が謳われ、GABA(ギャバ)を含むサプリやチョコレートがたくさん販売されています。
GABAはγアミノ酪酸とも言い、元々私たちの脳に備わっている神経伝達物質です。
覚醒をオンにする神経伝達物質はドーパミン等何種類もあります。
しかし、覚醒をオフにして眠りに入るための神経伝達物質は1~2種類しかありませんが、GABAはその1つです。
ですが、「GABAを口から摂取しても脳内に入って作用している」かどうかはわかりません。
γアミノ酪酸は抑制系の神経伝達物質で、私たちが眠っている間に、覚醒音の神経伝達物質が活動しないように、ブレーキの役割を果たします。
GABA神経は脳内の至るところに存在し、睡眠や鎮静以外の役割も果たし、中には覚醒中に活動を高めるGABA神経もあります。
睡眠に関わるGABA神経のみの効果を強めようと開発されたのが鎮静型の睡眠導入剤で、それでも色々と副作用があります。
また、脳に直接作用するには「脳血液関門」と呼ばれる場所を通過する必要があります。
口から摂取したGABAが脳内の関門を突破して、さらに入眠スイッチを押すとは考えにくいです。
脳血液関門については、未だ完全には解明されていませんが、薬剤等を直接、血液中に投与してもこの関門は突破できないと言われています。
当然ですが、市販されているものは、厳しく検証されて安全性は確保されています。
食品やサプリに含まれるGABAは少量です。
睡眠前の「ポジティブルーティーン」に組み込むのは問題ないですが、解明されていない部分も多いので、絶対的に信用できるかは疑問です。
プラシーボ効果を狙うならGABAはいいですね
運動によって増える物質は脳血液関門を突破できたりするようです
GABAは元々睡眠薬に関連する物質として、研究者の間では馴染み深いようです。
脳には、ベンゾジアゼンピン受容体という睡眠の導入や鎮静、抗不安、筋弛緩(きんしかん)に関係する受容体があります。
このベンゾジアゼピン受容体は、GABAの受容体の上に存在し、GABAを調整します。
ベンゾジアゼピン受容体が外部から刺激されると、GABAの受容体も連動して刺激されるので、覚醒にブレーキがかかるということです。
もっと簡単に言うと、睡眠GABAだけを応援すれば、頑張ってくれるという事です。
ベンゾジアゼピンはもともと抗不安薬です。
この抗不安薬を服用していると眠くなることが分かり、入眠作用が強いものが開発されました。
そして、睡眠導入作用のみを強くしたものが、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬です。
GABA自体は研究者間では有名だったようですね
構造式は違いますが、作用機序(さようきじょ:薬が治療効果を及ぼす仕組み)は同じです。
ベンゾジアゼピン系は、鎮静効果や筋弛緩作用、抗痙攣作用があり、夜の睡眠中に中途覚醒をしたことを覚えてなかったりといった作用があります。
ベンゾジアゼピン系は少なからずこの作用がでてしまうので、ベンゾジアゼピン構造を持たない睡眠導入剤が開発されたのが、非ベンゾジアゼピン系(マイスリー、アモバン、ルネスタ等)です。
しかし、非ベンゾジアゼピン系も作用機序は同じで、副作用も少なからずあります。
依存症や、高齢者のふらつきや転倒などといった問題が出てきます。
いずれにしても、どちらも副作用があります
GABAは必ずしも睡眠だけに関係するわけではありません。
ベンゾジアゼピンは抗不安薬や抗てんかん薬(一時的に過剰に興奮するのを抑える薬)としても使われており、筋肉を弛緩させます。
特に高齢者の場合、筋弛緩の副作用のせいで、筋肉に力が入らないため、転倒して骨折につながる事故にもなります。
健忘やせん妄、一時的な記憶障害も報告されています。
また、依存症も懸念され、入院中に眠れないからといって投与され、退院後には「薬がないと眠れない」となるのも心配です。
そして、薬をやめたらやめたで「反跳性不眠」で、前より眠れなくなってしまう問題もあります。
睡眠薬自体、不眠の根本的な治療にはなりません。
いわば、対処療法(その場しのぎ的な治し方)なので、不眠の改善はやはり生活習慣の改善が一番です。
本当に不眠で悩んでいるなら、まず睡眠時間を確保するのが速いですね
安易に薬を頼らなくても、人間本来の機能を取り戻しましょう
お酒には精神的なリラックス効果もありますし、寝つきも早くなりますが、睡眠薬代わりに使うのは問題です。
入眠しやすくなるというメリットはありますが、それ以上に睡眠の質が悪くなるデメリットが非常に大きいです。
飲んでから眠る習慣がつくと、やがて「飲まないと寝られない」ことにつながるので、お酒の量も増え危険です。
さらに、お酒を飲んで寝ると、「眠りはじめの90分」となる深いノンレム睡眠は出ませんし、夢を見るレム睡眠も抑えられます。
眠りの質が悪いと
- 脳と体のメンテンスが行われない
- 目覚めで疲労感が残っている
- 中途覚醒にもつながる
- 飲み過ぎで気分が悪くて目覚める
- 二日酔いで翌朝のパフォーマンスが下がる
と、デメリットが多いです。
お酒ではリラックスできても疲れは取れないと断言できるくらい、睡眠と相性が悪いです。
簡単に言うと、お酒は体の中に毒を取り込むイメージです
お酒も睡眠薬に似たところがあり、同じ危険性があります。
しかも作用機序が似ており、互いに作用を増強するため、時にはとんでもない副作用が出る可能性があります。
どちらも単独で健忘やせん妄、軽い記憶障害を起こしますが、併用するとその可能性が増えるということです。
気圧の関係で酔いやすい飛行機で急激に多量のお酒を飲み、泥酔した乗客の問題行動がたまにニュースになりますが、これと同じケースです。
睡眠薬とお酒の併用は命にもかかわります。
これは絶対にやってはいけません。
お酒なんかで絶命するなんて、命の無駄遣いはしてはいけません
睡眠薬とお酒は似ており、一概にどちらが悪いということはありません。
しかし、お酒には習慣性があり、徐々に飲む量も増えます。
入眠目的で始めた一杯が、徐々に多くなり、飲まずにはいられなくなります。
悪い影響を最小限にしたいなら、強いお酒をほんの少し飲むという方法があります。
だらだらと、少量のアルコールを摂取し続けるのはやめましょう。
日本では、2021年秋、日経新聞に掲載されたクロス・マーケティング調べによると、お酒の楽しみ方について「一人でいj宅で飲む」と回答している人は51.4%と世界でも最多だったそうです。
自宅で一人で飲む場合、誰にも咎められませんし、ついつい飲む量が増えます。
お酒を止めて、どうしても眠りたいのであれば、お酒以外の冷たい飲み物を飲みましょう。
冷たい飲み物で、深部体温を下げ、入眠にいざなってくれるので、どうせ同じ「麦」を飲むなら「麦茶」にしておきましょう。
ちなみに、暖かいホットミルク等は睡眠とはあまり相性がよくないです。
お酒を飲まない人も、友達に教えてあげましょう
最初に「お酒は薬」と言った人は、お酒を売って稼ぎたかったのでしょう
夜、トイレに行きたくて何度も起きてしまうと心配する人もいるでしょう。
そうして悩んでいると、睡眠の途中で目が覚めて「中途覚醒」となります。
年齢を重ねれば中途覚醒が起こるのは自然なことです。
一番大切なのは、気にしすぎず、「そういうもの」だと受け入れましょう。
対策としては、電気をつけて部屋を明るくしたり、スマホを見たりしないようにしましょう。
光の刺激やスマホからの刺激情報で、脳が「もう朝か!?」と勘違いしてしまいます。
トイレに行く際には、フットライトや暖色系のライトをつけて、転んだりぶつからない程度に明るくするにとどめておきましょう。
そして、トイレを済ませたら、すぐにベッドに戻りましょう。
トイレをするために起きたので、それ以外のことはできるだけしないことがポイントです。
トイレで目覚めたら、スーッといってササーっと戻ってきましょう
寝る前に水分を摂るのは、入眠のためだけでなく脱水症状を防ぐ意味合いもあります。
血液が水っぽくて血液量が多いと血圧が高くなりますが、ドロッとしていても血管の抵抗が増え、血圧が高まります。
粘度が高い血液は加齢とともに脆くなる血管や循環器に負担をかけるので、適度な水分補給をしておくといいです。
自律神経の乱れがあり、就寝中に血圧が下がらないような人は特に注意が必要です。
ですが、がぶ飲みは厳禁です。水分を一度に多量にとると血液量が増え、心臓にも負担がかかります。
コップ一杯程度の水分を、少しずつ、こまめに飲みましょう。
朝が来て覚醒モードになると、血圧は自然に上がります。
朝から午前中にかけて心臓や脳の病気で倒れる人が多いのは、この血圧の急上昇も一因とされているようです。
夜中にトイレに起きて眠れない時は、水分補給のタイミングだと、前向きにとらえましょう。
つめたーい麦茶は実はいいんですね
糖分が多い飲み物は控えましょう
早朝覚醒(朝早くに勝手に目覚める)が癖になっている人だと、いっそおきてしまおうという考える人もいます。
「何時に寝ても早朝4時に目が覚めてしまうので、うとうとしているよりバッと起きてしまおう」という考えです。
ですが、「うとうと」にも実はちゃんと役割があります。
睡眠には、深いノンレム睡眠である「眠りはじめの90分」で、長期記憶としての定着や、いやな記憶の消去に役立っています。
最近の研究ではレム睡眠も記憶の消去に役立っていると言われています。
人間の脳は日々膨大な情報が入ってくるため、全てを覚えておくことはできません。
忘れても構わない記憶は断捨離したほうが日々の活動がスムーズになるからです。
明け方になるにつれレム睡眠は、記憶の整理をする時間だともわかってきました。
自転車の乗り方や調理手順など「体で覚える記憶」が定着するのがノンレム睡眠といわれていますが、レム睡眠では、物事の意味やその特性、エピソードを記憶する働きが強いと言われています。
記憶の定着に関わらないレム睡眠を軽視するのはいささか乱暴です。
楽しい夢を見ながら記憶の整理をした方が、ビジネスでは活躍する可能性があります
勉強したければ寝たほうがいいですね
感受性豊かな生活は睡眠から生まれるということです
眠れないという不安への対策は、一番は運動してしまうことです。
頭が冴えて眠れないのであれば、運動で体が疲れてくれば眠くなります。
安易な睡眠薬に手を出すより、生活習慣で不眠対策をしましょう
睡眠についてのまとめです。
- GABA(γアミノ酪酸)は入眠に効果があると言えない
- 睡眠薬にはどんなものにも副作用があることは承知しておく
- 副作用は、せん妄、健忘、軽い記憶障害などがある
- お酒の力は仮初であり、睡眠とは相性が最悪
- 睡眠薬とお酒の併用は命を落とす可能性がある
- 夜眠れないのであれば、冷たい飲み物を飲む
- 夜中でトイレで起きても気にせず、済ませたらすぐにベッドに戻る
- 浅いレム睡眠でも記憶の整理が行われる
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