説明する時に、なんか上手く伝わらない、なんか相手が理解してなさそう。
そんな感想を抱く場面は多いかとおもいます。
自分が理解していないことなら論外ですが、よく知っていることを説明する時には、気を付けることがあります。
↓文章を読み上げてくれます(.WAV)
人間は難しいことを理解できないのはみんな同じ
相手にとって未知のことをいったん整理するために、目的探しで、自分が何を伝えたいのかを考え抜きます。
今度は手段を選ぶ必要があります。いかにして相手の既知のことと自分の目的を結び付けるのかという思考法です。
「人間というのは、愚かな生き物だ」と聞いたことがあるかもしれません。これはその通りだと思う場面は何度かあったかと思います。
人に何かを説明するときに失敗してしまうという経験はみんなあるはずです。
そして、「なぜ、自分の話しは伝わらないのだろうか」と、思い悩む人は非常に多いかと思います。
話しが伝わらない原因で、最も大きいのは、「説明を受けている相手のことを過大評価しすぎている」ということです。
「これくらいのことなら伝わるだろう」「これくらいのことなら、一般常識でしょ」
そんなふうに、人は相手のことをしばしば過大評価をしがちです。これは、大学入試で失敗する人が共通して陥る落とし穴でもあるそうです。
東大の入試問題は、ほとんどすべての問題が記述式で、いかにわかりやすく噛み砕いて自分の考えを述べ、説明できるかがポイントとなってくるそうです。
そのときの受験生がやってしまいがちなのが、「これくらいのことなら、わかるだろう」と、相手のことを過大評価して文章を作成してしまうことです。
2012年度の東大入試では、「人の心が読めるようになったらどうなるか、英語で答えなさい」という内容の問題が出題されましたそうです。
これにたいして、「世界平和が訪れる。なぜなら戦争が発生しなくなるからだ」と解答をしても、みなさんも、よくわからないと感想が出るかと思います。
しかし、「世界の紛争は、相手がどのような行動を取るかわからないから発生していることが多い。敵意がないと口で言っていても信じられなかったり、嘘をついている国があったりするので戦争になる。」と説明があることでようやく話しが理解できるようになります。
「わかるでしょう。」は他人に通用しない
上記のとおり、「世界平和が訪れる。なぜなら戦争が発生しなくなるからだ」とテストで解答をしても、おそらく0点になるでしょう。
この理由は、「言わなくてもわかるでしょ」というのが多すぎるからです。
「人の心が読める」→「戦争がなくなる」というのは、読者にとって聞きなれない、馴染みのない話しなります。
上記の解答は、読み手もこの「→」の部分を説明しなくても理解できるだろうと、過大評価をしているためです。
これが「人の心が読めるようになるから、嘘をつくことができなくなる」という解答だったら、相手にも理解しやすいはずです。
「人の心が読める」→「嘘がなくなる」というのならば、この「→」の部分は理解できますから、「それならわかる」と思ってもらえます。
もっと付け加えると、「人の心が読める」→「嘘がなくなる」→「戦争がなくなる」という風に書いてあれば、まだ理解できなくはありません。
人間は、A → B → C と書いてあったら理解できます。
しかし、A → C とだけ書いてあって、「Bは読者で理解してね」と言われても、それは難しいことなので理解できないのです。
「B」は、絶対に書かなければならないものです。
AとCをつなぐ、大切なワンクッションとなります。この手段を抜かして物事を説明してはいけません。
人間は未知のことはわかりません。既知のことと結びつけないと、未知のことを理解することはできません。
説明をするとき、一番忘れてはいけないのはここです。
極論だと、自分も含めて人間はみんな愚かだと思っておいた方が、説明は上手になります。
ここで誤解してはいけないのは、説明が通じないのは「手段」が一足飛びになっているからであって、「目的」そのものが難しいからではありません。
難しい概念でも、伝えるのが難しい話しでも、1つひとつ丁寧に話していけば伝わります。
しかし、一足飛びに相手にパッと理解をしてもらうことは不可能です。
人間は、一瞬でピラミッドを作ることはできません。毎日毎日意思を積み上げていった結果として、ピラミッドを建てることはできません。
逆にそうやって適切な手段、できることを積み重ねていけば、いつかピラミッドでもなんでも建てることができるようになります。
「たとえ」とは、「B」を作ること
無理のない形で人に説明する力は、どうすれば高まるのかというと、日常の解像度を上げる必要があります。
普段、僕たちが見ているものと、目的とを結びつけることで、伝わりやすい「たとえ」をつくることはできます。
たとえば、大きいものを紹介する時は「東京ドーム何個分」と説明があります。
「1000立方キロメートル」だとか「10万ヘクタール」と言われても、それが大きいのか小さいのかちょっと想像がつきずらいですよね。
だから、普段から目にする、わかりやすく大きいものの象徴を「例」として出しています。
これも、前提には「人間はみんな難しいことはわからない」という考え方があります。
普段みんなが目にするような事柄にしないと、その物事を理解することは難しいのです。
この行為の例として、A → B → C の間の「B」という理解しやすいワンクッションを入れるというものです。
おわりに
人間は誰しも難しいことは理解はできません。とくに自分が知らない情報であればなおさらです。
「このくらい説明しなくてもわかるだろう」という相手を過大評価する心構えでいると、自分の説明は相手に伝わりにくくなります。
A → B → C と順番で説明する時、「B」の説明を抜かしてしまうと、相手に伝わらなくなります。
この「B」こそが重要であり、この理由部分も説明することで、ようやく話しが繋がるようになります。
復習
頭のよさについて今まで書いてきたことです。
日常の解像度
普段の生活の中からでも、常に感度を上げている人はそこから知識を増やすことができます。身の回りのことをはっきりとみることで、自分で疑問を持つことができ、そこから考えを掘り下げていくことができます。
日常生活を常に「解像度の高いカメラ」でみているようなものです。
日常の解像度のあげ方
例えば、牛乳を例にとってみると、東京に住んでいる場合は生産地「群馬県」「千葉県」と書いてあります。牛乳は北海道とイメージがありますが、なぜなのでしょうか。
答えは小学生の社会の授業でならった「近郊農業」です。鮮度が大切な食糧は、近くで生産して輸送した方がコスパもいいですからね。
このように、日常生活の中にあるものからでも知識を増やす機会になります。これは、ビジネスにも役に立つ方法です。
覚えやすいものと覚えにくいものは人それぞれ
頭のいい人でも、全てのことを覚えられるわけではありません。
九九の段を覚えるのが得意な人と苦手な人がいるように、記憶力は人によって違います。
記憶するには関連付けておぼえると楽
物事(漢字や英単語も)にはなぜそうなったのかという背景や、歴史で言えばその出来事の前後の脈絡があります。
丸暗記でなく背景や脈絡を知ることで、記憶をしやすくなります。
記憶するにしても、頭の中を整理しながら覚えると記憶しやすいです
なんでもかんでも関連付けて覚えると言うよりは、きちんと頭の中を整理しながら覚えると、より記憶しやすくなります。
覚えるときも、クローゼットの中を整頓するがごとく、最小限の物だけを収納するように覚えてみましょう。
そのコツとしては、同じものでも違った角度でみることで、覚えやすい解釈を得ることができます。
原因があって結果が存在するため、「なぜ」という疑問を常に持ち続ける
物事には原因があって結果があるのですが、世の中のほとんどのものは結果しか見えていません。
それをいきなり覚えようとしても中々覚えられないので、まずは原因を追究するところからはじめると、理由を知ることで物事の記憶する力がついてきます。
原因を調べるための具体的な方法4つのコツ
- 特徴的な言葉や数字の原因を探す
- その言葉、数字を使って「何故」と考える
- その数字、言葉の背景を調べる
- 「何故」に対する解答を考える
これらを基にして、原因思考法を実践してみましょう。
他の物事に関連付けて覚える
関連付けて覚えることができれば、そのことを覚えやすく忘れにくくなります。
そして、記憶する努力も、最小限の力で最大限の成果を発揮することができます。
一つ覚えればまた一つ、関連付けて頭の中を整理して覚えることで、思い出すときも一つ思い出せば芋づる式に思い出すことも可能です。
具体的な関連付けるやりかた
- ノートやメモ用紙を用意し、一番上に「原因」と書く
- 原因から派生する結果を書く
- 原因と結果をつなげる
- そのノートをとっておき、他の結果と結びつけられるようにする
要約する力である要約力こそが頭の整理がよくできる人
人の話しを聞いたり、本を読んだりしたときに、その内容をまとめることができる要約する力もまた、頭のいい人と言われます。
要約するという事は、無駄なところを削ぎ落して必要なところだけを残すという力になります。
つまり、大事なところ、言いたいところを理解する力があるので、これができる人は重宝します。
要約をするためのプロセス
- 具体的な中身に入る前に、それに至る流れを理解する
- その流れの中で、具体的な中身がどのように位置づけられるかを考える
- この2つのプロセスの中で、重要なポイントを探し、マーカーを引くようにその点を重点的にみて、覚えて、まとめる
自己紹介は要約する力を発揮できる
自分自身を紹介する自己紹介、多くの方が経験していますが、短い数十秒、長くて1分で自分のことを相手に伝える行為となります。
就職活動では、この自己紹介の良し悪しで自分の未来が決まると言っても過言ではありません。
20年以上生きてきた経験を、たったの数十秒にまとめて話すのですから、最も言いたいことだけを言うしかない場面です。
自分の根幹をなしている「背景」や「元」になることを話すと、相手によく伝わります。
上流探しをするコツ
①その言葉の定義をはっきりさせる
②そもそもどうしてなのかを探してみる
③その前に何があるかを考える
この3つを踏まえながら考えてみる。
上流と下流が繋がったときに、要約が成立する
下流(結果)と上流(背景)をつなげることで要約することができます。
しかし、上流が1つでも、下流が1つとは限らず、同じ背景でも、結果は複数になることが多いです。
また、本や文章では、最初と最後の部分にこそ、上流と下流となる要素が詰まっているので、そこが重要な部分になります。
要約づくりの具体的な方法
①流れ探しの中でみつけた上流の中から、キーワードのみを抽出する
②そのキーワードと、要約したい事項がリンクする部分を考えて、つなぎ合わせる
③つながったキーワードを使って上流の説明をしつつ、事項を説明する
要約力や記憶力だけでなく、それを説明する説明力も重要
自分が記憶するために要約しても、それを誰かに説明(アウトプット)できるようにするための「説明力」も重要になります。
説明が上手な人は、相手の立場や目線にたって、説明してくれます。つまり、説明を受ける側が理解できるように説明してくれるのです。
人は自分が知っている物事は理解しやすいですが、知らないものについては理解できません。新しいものを説明する時や企画を立てるときでも、相手の知っているもので例えて説明すると、より理解されやすいです。
説明上手な人は、例え話しも上手。説明力の大切さ
人が物事を理解するためには、自分の知っている知識と結びつけることが重要です。
そして、人に物事を説明する時は、相手の知っている既知情報と自分の話したい未知情報をつなげる必要があります。
その代表例として、一般的な物事や、相手が知っている例える話しをすることで、つなげられます。
目標を設定しても手段ばかりに囚われては、結果に結びつかない
目標と手段、どちらが大切かというと目標の方が大切です。
目標を達成するために手段があるのですが、手段にはテクニックや技術を使うことが多いので、こちらに焦点を当ててしまいがちです。
しかし、手段ばかり重視していると、目標があいまいになってしまい結果が出にくくなります。
必ず、目標を抽象的ではなく明確に設定し(細かく設定する)、手段は二の次と考えましょう。
何を伝えたいのかを徹底的に考える
相手が既に知っている知識が手段で、相手にとって未知の知識が目標となるのですが、この目標を徹底的に考えることで、手段も明確になってきます。
たとえば、会話をするときにも「~について」など、タイトルをつけると相手にも伝わりやすくなります。
話し方の技術も大事なのですが、何をするにも、目的を明確にすることのほうが先決です。
参考文献
前月のブログ状況報告↓
2021年8月近況報告
こちらにも参加しています↓