自分にも他人にもですが、質問をなげかけるときに意識することは、そもそもの部分です。ここがわかっていないと、最悪、何の話をしているのかがわからなくなります。そこを理解して先へ進むと、今度は「何故そうなるのか?」という根本的なところが気になるかと思います。今回は、そのことを紹介していきます。
この記事はこんな人におすすめ
- 目的を明確にしているのに、結果をみるととりあえずの形式的なものが完成する。
- 考えやアイデアがまとまらない。新しい発想が浮かばずになやんでいる。

ここまでくると、自分一人で解決できる問題ではなくなるような気がします。

仕事をすると、誰しも一度はたどり着く境地ですね。
↓文章を読み上げてくれます(.WAV)
「そもそも」論として自分や相手に問いかけて考えることは、常に目的を考えることが重要です。
目的と手段がいつの間にか入れ替わるというのは、よく起こりがちです。
たとえば、コンプライアンスの重要性は今では話すまでもなく常識的な話しですが、そもそもどうしてそんな法律ができたのか、その根本を理解して、それに基づいた行動を取ることが重要なのであって、しくみやマニュアルをつくるのはそのための手段です。
ところが、日常の仕事に圧迫されると、ついつい手段であるしくみやマニュアル作りが目的であるように勘違いしてしまいます。
そうすると、形だけのものが完成して、本来の目的を果たせなくなってしまいます。
常に、基本に立ち返って考えることが重要となります。
これは以前、別のシリーズでも紹介したことですので、この「目的」ということは非常に重要です。詳しくはこちらから。


節税するために、ワンルームマンションを購入するという、営業トークもありますが・・・

節税はあくまでも手段ですからね。
節税の手段は他にもいくつかあるのに、1Rマンションをローンを組んででも買うのはどう考えてもおかしいですね。
手段を目的化すると、ろくでもない結果になりがちです。
何人かで集まって企画会議をやったり、仕事上の戦略を考えていたりすると、いい発想がなかなか湧き上がってこなかったり、考えが堂々めぐりになったりすることがあります。
そういうときは、自分や会議メンバーに対して、質問をなげかけることで、思考の迷路から脱出できます。
弁護士がよく使う発想法に「立場の転換法」というものがあるようです。
弁護士といえども、事件を解決するうえで、常時すばらしい発想が浮かぶわけではありません。
そんなときに、立場を転換することで発想を得ようとしています。
立場の転換法とは、例としてはつぎのとおりです。これは、一般のビジネスでも勉強でも使えます。
事件が起こった場合、複数の登場人物がいて、それぞれどのように解決したがっているかを考えます。
・自分が弁護士として、この事件にどう考えるのか、どう解決するのか
・相手方はこの事件をどう見て、何を求め、どう解決したいのか
・第三者の裁判官は、どのように見えるかと、当事者の立場を離れてみるようにする
そうすると、狭い見方でしかできなかったところで、新たな発想が生まれる
ビジネスであれば「顧客目線に立つ」ということはよく行われるでしょう。
顧客が、子どもだったり、20代だったり、高齢者だったりすると、それぞれの目線に立ちます。
そうすると、それまでとは違った世界が見えてきます。
もし、判断に迷ったのであれば、「もし尊敬するあの人なら、この局面でどう判断するだろうか?」と考えると、今までとまったく異なる発想が湧いてきます。
考えが堂々めぐりに陥ったとき、議論を一歩離れてこのような質問を投げかけることで、突破口がみえることもあります。

私は将棋で、「藤井聡太きゅんなら、この局面はどう打つのかな?」と考えてるけど、難しいのよね~

その場合は、その人のことをよく知ってないとできませんから気を付けましょう。
ここで一つ余談をば。
IBM(アメリカのコンピューター関連の企業)が、長い間低迷を続けていたころ、その会社再生のカギとなったのは、1人のトップの一つの質問でした。
「我々は本当にIBMなのか」
トップに立ったルイス・ガースナーは、こうした非常にシンプルな質問を社員全員に投げかけたそうです。
IBMは、企業理念を大事にしている会社ですが、ガースナーはあえてその理念を持ち出し、その理念と現在の自分たちが一致しているのか、違っているのかを問いかけ、実際に世界中で調査させました。
そこで出た結論が「我々はIBMではない」というものでした。そこから会社が動き始め、会社が変わっていきました。
それまでIBMでは、何人もの経営のプロがトップに就任し、さまざまな分析がなされ、色々な手段を講じてきました。
しかし、組織も人も誰も本気では動かず、その原因は一人ひとりが、本当に自分自身の問題として考えていることができなかったからです。
人は誰でも、「うまくいかなかった責任」は自分ではない誰かに押し付けてしまいがちです。そうした状態では、誰も本気で動き出そうとはしません。
しかし、「我々は本当にIBMなのか」というシンプルな問いかけを受けた時、一人ひとりが自分やまわりをふり返り、動き始めることができました。
全てを「自分のこと」としてとらえることができたとき、人は本気で考えて動き出します。質問はそのための大きな引き金となるということを、IBMの例は教えてくれます。

自分事で考えるというのも基本的なことなんですが、優秀な社員がいるとその人に押し付けるということもやりがちなんですよね。

会社員ならば協力してやるというのはありですが、アットホームな関係といいつつ仕事を丸投げして責任放棄するのはやめないといけませんね。
質問をする力も、そもそものところを考えると本質的なところはどういうところなのか。ということに行きつくかと思います。
「手段を目的化しない」というのはよく言われることですが、考えるのが面倒になったり、はたまた余裕がなくなったりするとそうなりがちです。過度なストレスがかかる環境で仕事をすると、思考が停止してしまいます。
そしてもし、自分の発想が行き詰ったら、これは様々な人の立場になって考えるという事です。他の人の目線で考えることで、新しい発想につながることになっていきます。


ここからは、このシリーズのまとめページに飛びます。
随時更新していきます。
参考文献
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