この記事はこんな人におすすめ
- 集中力や記憶力がなくなってきた、もっと仕事に全力で取り組みたい
- いっつも間違えた判断をしてしまい、どうすればいい判断ができるか知りたい
- 運動を友達にもすすめたいけど、どうアピールしてよいかわからない
結論は、運動でストレス耐性が上がればパフォーマンスが上がる
生活している間は、ストレスは常につきまとい、ストレスゼロの生活をするのは不可能です。
それならば、ストレスのことを知り、ストレスと共に生活していくほうが賢明です。
ある程度のストレスは、集中力を上げたり神経を研ぎすませたりと、なくてはならないものです。
ですが、ストレスを受け続け、いつまでも闘争本能がむき出しだと、脳も身体も休まりません。
それどころか、記憶力・思考力も下がり、ストレスへの抵抗力も下がり、負のスパイラルが発生します。
そこで対応策になるのが「運動」です。
運動には、ストレスに対する抵抗力が上がり、脳の認知機能や、運動継続で脳を成長させることもできます。
運動によるメリットとストレスのことを知ることで、ハイパフォーマンスな自分を作ることはできます。
このブログは、以下の書籍を参考に、自分の考えと経験を加えながら書いています。
毎朝、目を開けた瞬間からストレスは始まります。
日中はやるべきことに追われ次々と押し寄せる。
夜は理由もなく不安や心配事にさいなまれる。
日々、慌ただしく過ごす中、もう少し時間に余裕があればどんなにいいだろうかと思うほど。
ストレスを感じなければ、どんなに落ち着いた心境でいられるかを思うことは多いです。
SNSを見たり、ネットを活用したりするだけでもストレスはたまる社会。
ストレスを溜める過ぎると、私たちの仕事のパフォーマンスを下げてしまうほどの威力があります。
ストレス社会でのストレスとの付き合い方は大切ですね
心理的ストレスが続くと、心が疲弊してしまいます
この本には、ストレスの症状に悩まされ、著者に診療を試みる患者が登場します。
ストレスで悩むその男性は、数年にわたってストレスによる睡眠障害や、些細なことでイライラすると言ったことも増えていた。
周囲には自分の苦悩を隠しながら生活してきましたが、著者の1時間の面談によりわかったことを男性に告げました。
「記憶力の低下」「睡眠障害」「パニック発作」、これらの症状は全てストレスの重圧下にいることが原因と。
男性には抗うつ薬は気が進まないため、他の方法を進めました。
それが、トークセラピーと並行したランニングを組み込んだ運動プログラムです。
※トークセラピー:心の負担になっていることを第三者に話して、自分を見つめ直す対処法。
スウェーデンでは、病気休暇による最も多い理由がストレスになっています。
アメリカでも成人の72%が重いストレスを経験し、42%が不眠に悩まされています。
日本や中国では、人口の約4%がうつ病患者と言われています。
「ストレスには運動が最も効果的」。
このことを知らない人は意外に多いです。
ストレスによる疾患の治療と予防には、運動が目覚ましい効果をもたらすことが、研究によっても立証されています。
うつ病という人ほど、運動不足なのかもしれません
ストレスに立ち向かうには、ストレスのこと、どこまで影響するのかを理解してみましょう。
私たちの身体には「HPA軸(視床下部・下垂体・副腎軸」と呼ばれるシステムがあります。
HPA軸は脳の深部にあるH(=視床下部)から始まります。
脳が何らかのストレス(プレゼンでも危機的状況でも)を感じると、視床下部がホルモンを出して、P(下垂体)を刺激する。
下垂体は別のホルモンを出し、このホルモンは血流により運ばれ、A(副腎)を刺激する。
副腎は「コルチゾール」と呼ばれるストレスホルモンを出し、動悸が激しくなります。
このシステムは進化の過程で受け継がれてきた、生物学的メカニズムです。
いわば、狩猟採集時代では狩りをして生活するように、「闘争」本能を刺激され、私たちは日々、仕事をしているというわけです。
H(視床下部)が刺激
↓
P(下垂体)が刺激
↓
A(副腎)が刺激
↓
コルチゾールが分泌され、動悸、緊張など身体が反応する
コルチゾールの血中濃度が上がると、脳も体も厳戒態勢に入ります。
自分の命を守るため、筋肉はたくさんの血液を必要とするため、動悸が激しく(=心拍数が上がる)なります。
脳は意識を集中させ、わずかな変化にも敏感になります。
小さいものごとにも反応してしまうほど、過敏な身体へとなります。
ストレスは、神経を研ぎ澄ませ、集中力を高める効果があります。
しかし、この反応が過剰になりすぎると、自制心が失われ、思考が混乱する結果になります。
ストレスは時に必要なものでもあるんですね
HPA軸は「扁桃体」によって動かされます。
扁桃体は、側頭葉の奥深くにあるアーモンド形の部位で、脳の左右に1つずつ備わっています。
扁桃体は、車で言うアクセルのように、生存の可能性を増やす、いわば警報システムです。
扁桃体の動きはユニークで、ストレス反応を引き起こすだけでなく、そのストレス反応によっても刺激を受けます。
- 扁桃体が刺激される
- HPAが刺激され、コルチゾールが分泌する
- ストレスが発生して身体が反応
- ①に戻り②、③と繰り返す
扁桃体の興奮が収まらず、HPA軸が制御不能になれば、本格的なパニック発作がおこります。
パニック発作を起こすと、理性を失い、いい結果が出ることはありません。
切迫した状況では、冷静で明晰な思考が必要となってきます。
そのため、身体にはストレスを緩和したり、興奮やパニックを防ぐブレーキ機能が備わっています。
その機能の一つが「海馬」です。
海馬は、記憶の中枢といわれていますが、感情を暴走させないためのブレーキとしても働いています。
海馬はストレス反応を抑制することで、ストレス反応を引き起こす扁桃体の働きを相殺します。
海馬と扁桃体のバランス調整はずっと続けられています。
アクセルとブレーキの機能が身体にそなわっているんですね
ブレーキが壊れたら・・・想像できますね
仕事でのプレゼンの場面(あるいは学校でのテスト)をイメージしてみましょう。
入念に準備して臨み、緊張感がある中、無事に終了すると、ほっと一息つけるかと思います。
緊張から解放された状態になると、ストレス反応は収束していきます。
脳と身体は闘争本能が解除されていきます。
つまり、扁桃体が静まり、コルチゾールの分泌量が下がり、気持ちも穏やかになっていきます。
ここで重要なのは、ストレスを生む状況が終わるとすぐにコルチゾールの分泌量も減ること。
闘争本能がむき出しの状態で長時間いると、非常に危険です。
海馬の細胞は過度のコルチゾールにさらされると死んでしまう。
慢性的にコルチゾールが分泌される、つまりストレス状態が何カ月、何年も続くと海馬は萎縮してしまいます。
ストレス反応がいつまでも治らないと、短期間の記憶が損なわれることも少なくない。
重いストレスを抱えた状態が長く続くと、言葉が上手く出ず、場所の認識ができなくなります。
ストレスにより記憶力も衰えるんですね
海馬が委縮してストレス反応に歯止めが効かなくなることは深刻です。
海馬はブレーキの役目ですが、扁桃体のアクセル全開状態が続くと、ブレーキがすり減っていきます。
するとますますブレーキが利かず、アクセルが強まり暴走を始めます。
ストレスがストレスを生む状態になってしまうと言うことです。
こうすると、ストレスが長期化したり、慢性化する原因につながります。
重いストレスや不安を抱えている人の脳を調べると、実際に海馬が平均よりわずかに小さいことがわかるそうです。
ストレスで脳が傷つくってやばいですね
ブラック企業にいると人生が壊れるのはこのためですね
ストレスを上手く対処するには、コルチゾールが脳に及ぼす影響を減らすことが有効です。
この有効な方法というのが、運動となります。
ランニングやサイクリングなどの運動をすると、それを続けている間はコルチゾールの分泌量が増えます。
運動も肉体に負担をかける一種のストレスになります。
運動で体を適切に動かすには、酸素やエネルギーが必要なため、血流が増やすため心臓の鼓動が高まります。
心拍数、血圧も上昇しますが、この時のコルチゾールの反応は正常で、必要な反応です。
運動が終わると、身体はもうストレス反応を必要としないので、コルチゾールの分泌量は減り、ランニングを始める前までのレベルまで下がっていきます。
ランニングを習慣化すると、走っている時のコルチゾールの分泌量は次第に増えにくくなり、走り終えた時に下がる量は逆に増えます。
運動を習慣化していると、運動以外のことが原因のストレスを抱えている時でも、コルチゾールの分泌量はわずかしか上がらなくなっていきます。
運動によるもの、仕事によるものでも、運動によってストレス反応を抑えることができます。
運動が、ストレスに対して過剰に反応しないように身体が学習するということです。
運動でストレスコントロールが可能ってことか
モントリオール・イメージング・ストレス・タスク(MIST)というテストがあります。
MISTは、私たちがストレスに対してどのように反応するのかを教えてくれるもの。
テストはコンピュータを通して行われ、被験者は制限時間内に暗算を行い、モニター上で正しい答えを選ぶよう指示されます。
解凍するごとに、自分が正しかったか間違ったかが表示されます。
しかし実際には、被験者にストレスを与えるためのテスト。
被験者たちにはあらかじめ「正答率の平均は80~90%」と伝え、実際の結果は、解答に関わらず正答率20~45%になるように調整されます。(ひどいテスト)
このMISTをする前に、サイクリングを30分行うグループと心拍数が増えない軽めの運動を行うグループに分けます。
サイクリングを実施したグループがMISTを実施した後に、コルチゾールを調べたら次のことがわかりました。
- コルチゾール濃度が低い=ストレス反応が出にくい
- 海馬の働きも活発化し、HPA軸全体の反応も抑えられた
ストレスを与えるためのテストを受けても、サイクリングによるストレス抑制効果は表れました。
確かに運動後は嫌なことが多少あっても許したくなる気分になりますね
海馬はストレス反応のブレーキとして働き、運動によって強化されます。
海馬以外にも、額のすぐ後ろにある「前頭葉」も、ストレス反応を抑制しています。
前頭葉の前の部分に前頭前皮質と呼ばれるエリアがあります。
ここでは、衝動を抑える、抽象的思考や分析思考を行う、いわゆる「お高い場所」です。
ストレスを感じている時、前頭葉は感情的にならないように、理性を失わないように働いているわけです。
たとえば、大きなストレスを受けた時(初めて飛行機にに乗る時など)、前頭葉と扁桃体でそれぞれ反する働きをします。
前頭葉・・・落ち着かせる思考となる。「大丈夫、落ちるわけがないさ」
扁桃体・・・体を厳戒体制に持っていく。「落ちるかもしれない、気をつけろ!」
平常時からこの働きをしていますが、お互いバランスをとって脳は機能しています。
パニック発作にならないために前頭葉は機能するわけですね
脳にブレーキ機能が2つあるのは、ストレスを受けると海馬は萎縮しますが、前頭葉も萎縮するからです。
ストレスが長引くほど、脳は自らを蝕み、歯止めが効かなくなっていきます。
慢性的なストレスを抱えていると、苦痛を抑える海馬と前頭葉が機能しなくなります。
扁桃体の出した警告を、前頭葉が打ち消すことができなければ、些細なことにも大げさに反応します。
つまり、朝、挨拶したとき相手が素っ気ない返事が返ってきたときでも、「やばい、嫌われているのか!?」と大げさに捉えてしまいます。
反面、前頭葉が活発化すると、気持ちが穏やかになりストレスは減る。
相手の言うことにいちいち大げさに反応することもなく、不安を丸め込めます。
そして、この前頭葉も海馬と同じく運動によって働きを強化することが可能です。
運動がストレスにいいメカニズムがわかりますね
運動をすると前頭葉が強くなる理由は様々です。
- 血流が増え、前頭葉にも大量の血液が流れることで機能強化
- 運動の継続により前頭葉に新しい血管が作られ、さらに血液供給量が増える
- 血液や酸素の運ぶ量が増えると、老廃物がしっかり取り除かれる
上記の機能は始まりにすぎず、定期的な運動には、時間はかかりますがもう一つ大きなメリットがあります。
それは、前頭葉は物理的に成長するということ。
検証するため、1時間程度の散歩を習慣にしている健康な成人の前頭葉を定期的に測定した結果、前頭葉を含む大脳皮質が成長していたそうです。
歩くだけでも、前頭葉は成長するということです。
しかし、成長させるには短期間では無理で、少なくとも数カ月はかかります。
途中であきらめない、辛抱強く続けることが、恩恵を受けられるようになります。
定期的な運動、想像より効果が大きいですね
ストレスや不安を抑えるために、お酒をたしなむ方は多いかと思います。
アルコールには、ストレス反応を即座に押さえつける強力な効果があります。
この本の著者は、ストレスや不安を緩和するという点では、アルコールに匹敵する物質はないと言い切っています。
しかし、この効果はデメリットもあり、効果があるどころか効きすぎるという点です。
脳にはあらかじめストレスを鎮めようとするプログラムがありますが、お酒で解決しているとこのプログラムが働かなくなります。
そして、脳はストレスを払しょくする快感を覚えると同時に、順応もしていきます。
つまり、同じ効果を得るためには、お酒の量を増やす必要があり、結果としてアルコール依存症へとつながります。
薬もアルコールも、本能により抗えないんですね
チョコレート菓子等で聞いたがあるかもしれませんが、GABAと呼ばれる物質があります。
GABAは、ストレスがかかっている状況下では脳の活動を鎮め、脳細胞の興奮を抑える働きをするアミノ酸。
GABAの抗ストレス作用は飲酒や薬の摂取の他、運動によっても活発化します。
効果があるのは、ランニングやサイクリングであり、ウォーキングだとそれなりの効果に留まります。
持続的な肉体の鍛錬によって、主に大脳皮質下でGABAの働きが促進されることが今ではわかっています。
大脳皮質下がストレスを生み出す源であり、ここでGABAの作用が活発化するのは、運動がストレスの大元に作用するということです。
ランニングでストレスの元凶に対処できるのか
カロリンスカ研究所のマウスを使った実験では、筋肉増強したマウスを作ったところ、このマウスたちはストレスの影響をほとんど受けなかったそうです。
マウスの筋肉中には、ストレスによって生じる代謝物「キヌレニン」を無害化する物質が含まれていたとのこと。
キヌレニンは脳に害を及ぼしますが、筋肉中の成分により無害化され、脳に到達できなくなります。
この無害化物質は、人間の筋肉にも含まれています。
筋肉は機能障害を誘発するストレス物質を取り除く機能も果たしているということです。
筋肉がストレスに効くなら、筋トレだけしていればストレス対処になると思われるかもしれません。
しかし最新の研究知見によると、筋トレだけではストレス対処にはなり得ないようです。
筋トレのストレス解消の可能性は考慮しつつも、ランニングやウォーキングと有酸素運動を併用して行っていくのがいいですね。
筋トレだけでは全てを解決できないのか
運動といっても、とりわけランニングやサイクリングがよさそうですね
運動は様々な方面からストレスを狙い撃ちできます。
・運動後はコルチゾールの血中濃度が下がり、次回からはあまり上がらなくなる。
・ストレス反応のブレーキである海馬と前頭葉を強化でき、不安を放出する扁桃体の活動が抑えられる。
・脳内の興奮を鎮めるGABAの作用が活発化される。
このように、運動には素晴らしい効果があり、世界中でこぞって運動の研究がされています。
運動最高!って言っても過言がないな
ストレスや不安に悩まされているのは思春期の子どもも同じです。
10代の成長期では、前頭葉や前頭前皮質など、ストレスを抑える脳の部位は完成してなく、25歳で完成されます。
いっぽうで、ストレスを生み出す部位である扁桃体などは、17歳でほぼ完成します。
不安だけを引き起こす部位が発達しているため、衝動的な行動や感情の起伏が激しいのも無理はありません。
しかし、運動はこういった思春期の子どものストレスや不安に対しても効果はあります。
首都サンティアゴの貧困地域で暮らす200人の健康な9年生を対象に研究が行われました。
このころ、糖尿病、心臓、血管の病気など、西欧諸国に多い病気が発症していました。
生活習慣を変えることで、その傾向を変えられるか、また、定期的な運動が子どもたちの幸福感や自信に影響を及ぼすかの調査がされました。
10週にわたる運動プログラムの結果、ストレスや不安が大幅に緩和され、子どもたちが健康になり、自身や幸福感の向上がみられました。
子どもでも運動効果が証明されるな
フィンランドでは、3,000人を超える被験者の協力で、生活習慣を調べる研究がおこなわれています。
「なぜ心臓発作を起こす人がいるのか、ストレスはどうかかわるのか」という研究です。
結果、週に2回以上運動している人は、ストレスや不安とほぼ無縁であることがわかりました。
これはチリの調査でも同様の結果です。
運動をしている人は攻撃的な面が少なく、皮肉っぽい態度も見られなかったようです。
フィンランドやチリの調査結果からは、悩み事は少ない人は運動量が多いという事実はありますが、運動がストレスや不安を軽減することの確かな証拠とは言えません。
しかし、この調査以外の研究結果も全て統合して2つの調査結果をみれば、子どもでも大人でも運動はストレスや不安に劇的な効果を及ぼすのはわかります。
週2回、定期的に運動をすると誰でもストレスに効果あり、か。
理由はよくわからなくても、週2回の運動はしておきましょう
扁桃体とストレス反応のシステムは強力なため、私たちの生活からストレスを完全になくすことはできません。
このシステムは脳の根幹にあるため、取り除くことさえできないのです。
例えば、人間関係でストレスを受けているからと言って、森の中で一人で暮らすことにしても、今度は生活の不便さや隔離された世界観からストレスを受けることになります。
ストレスフリーと言われて久しいですが、完全なるストレスゼロ生活を送ることは叶いません。
できないものを求めるより、ストレスに対抗する抵抗力を高めたほうが、健全となります。
忙しくて運動をする時間がない人にこそ、運動を取り入れることは重要です。
運動する時間を作れば、気分が晴れやかになり、ストレスが減ります。
運動への時間に投資することで、仕事の質を向上でき、結果としてハイクオリティな成果につながります。
急がば回れ、文字通り運動ですね
ランニングやジム通いをしている人の中には、体重を減らしたい、あるいは筋力アップをしたい方も多いでしょう。
運動をして、ストレスに対抗する抵抗力が上がると、その効果は体重にも表れます。
これは、コルチゾールの「身体の脂肪の燃焼を妨げる作用」があるためです。
コルチゾールの血中濃度が増えると、腹部に脂肪が蓄積します。
さらに、食欲が増し、高カロリーのものが食べたくもなります。
多くのストレスを抱えていてコルチゾールの血中濃度が高いままの状態が続いていたら、甘いものが無性に欲しくなるということです。
運動によってストレスにうまく対処できるようになれば、コルチゾールの血中濃度は下がります。
やがて食欲は収まって、蓄積された脂肪も減り、カロリー燃焼量は増えていきます。
ストレス発散を食事で行うということがなくなるね
ストレスと不安は同じ回路(HPA軸や扁桃体)により引き起こされるため、つながりを離すことはできません。
運動がストレスだけでなく、不安にも効果があるのは、発生源が同じ場所だからです。
アメリカの大学生で不安による疾患を抱えたものを対象に、ウォーキングかランニングを選んでもらい、週数回、疲れない程度に、20分ずつ2週間にわたって続けてもらいました。
結果、ウォーキング、ランニング、どちらの生徒も不安感は軽減しました。
その効果は、運動した直後に実感でき、効果は1週間続きました。
しかし、より高い効果を実感できたのは、ランニングの生徒たちでした。
運動により、脳のブレーキ機能が強化され、前頭葉と海馬が扁桃体の興奮を鎮め、それにより不安も抑制されます。
運動は疲れない程度のランニング、だね。
不安障害の症状が始まると、心拍数が上昇します。
脳は「何か悪いことが起こる!」と解釈し、心臓の鼓動が激しくなり、身体が「闘争か逃走か」の体制を整えます。
これが、不安やストレスに身体にさらされた時の一連の流れ。
ランニングをして無事に終えた後も、やはり動悸は激しくなります。
しかし、走り終えたときは気分は穏やかになり、脳内でエンドルフィンとドーパミンと呼ばれる物質が放出され快感を覚えます。
体を動かすことで「心拍数が上がっても、不安やパニックでなく、よい気分にしてくれる」と運動が脳に教えるのです。
ウォーキング程度の運動だと、効果が薄いのは心拍数が上がらず、良い気分にするという効果が得にくくなります。
ですが、一度でもパニック発作を起こしたことがあるのであれば、いきなり激しいランニングをするのは危険です。
脳が慣れておらず、パニックの前触れだと解釈し、発作が起きる可能性があります。
また、ランニングはハードルが高いと思う人もいるでしょう。
そのため、最初のうちは体に負担をかけないようにゆっくりと走ることを心がけ、身体が慣れるにしたがってスピードを上げていきましょう。
運動慣れしていない人は、軽めに始めましょう
ストレスと運動は、ほぼ正反対の作用を脳に与えるため、この本の著者は語っています。
- ストレスが増すと、脳内で情報伝達する機能が妨げられるが、運動は情報伝達機能を高める。
- ストレスは脳の変化する特性(可逆性)を損なわせるが、運動は脳の可逆性を高める。
- ストレスが高まると短期記憶が長期記憶に変わる仕組みにブレーキがかかるが、運動は記憶力向上に作用をする。
他にも脳内のあらゆる領域で、ストレスと運動は正反対の影響を及ぼすそうです。
運動はストレスへの解毒薬ということですね
ストレスや不安への対策として、具体的に何をすれば最も効果的かは、まだわかっていません。
運動量や時間など、研究によって裏付けされた運動プログラムというのは存在しません。
運動の効果は人それぞれであり、幅もあり、体系的な比較調査が実施されていないのもこのためです。
万人には効きませんが、科学的な目安としては、ランニング、サイクリング、スイミングなどの有酸素運動がおすすめです。
ストレス緩和のためであれば、有酸素運動をするほうが効果があります。
運動時間は、少なくとも20分、体力があれば30~45分程度続けましょう。
大切なのは、これを習慣にすること。
長い期間続けられれば、脳内のブレーキ機能が強化され、脳自体が成長します。
運動回数は、週に少なくとも2~3回、心拍数が大幅に増えるような運動をしましょう。
有酸素運動が出来ない人は、ウォーキングや散歩でもいいでしょう。
活発に動かせませんが、それでも効果は得られるため、運動をしないよりはマシです。
自分のレベルにあった有酸素運動をしてみるか
他人と競争せず、自分が継続できるレベルでやるのが大事
ストレスはゼロにできないため、付き合い方が大切です。
運動によるストレス対策は効果的です。
運動脳のまとめです。
- ストレスは起きている間は常につきまとう
- うつ病は世界中で発生しているが、運動で対策できる
- ストレスを受けるとコルチゾールが分泌されて動悸が起こる
- ある程度のストレスは集中力を生み、神経を研ぎ澄ます
- ストレス状況下が長く続くと、パニックや理性を失った行動に出やすい
- 海馬と前頭葉にはストレスを抑える機能がある
- 記憶を司る海馬、思考を担う前頭葉はコルチゾールの影響を受け続けると萎縮する
- 運動によりコルチゾールの分泌量を減らせる
- 海馬も前頭葉も運動により強化でき、運動継続で成長もする
- 運動は有酸素運動がベター、1日20~45分を週2~3回定期的に行う
- 運動はストレスと正反対の効果を出すため、ストレス対策に効果的
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