この記事はこんな人におすすめ
- テスト対策に記憶力を高めたいけど、簡単に上げられる方法を知りたい
- 歳を取って物覚えが悪くなった気がするが、以前のように頭を使いたい
- 仕事の量が多く、タスク管理ができずに悩んでいる
結論は、記憶をしたければ運動する
記憶力がよくなれば勉強ができたり、仕事で活かせたりと、考える人は多いでしょう。
しかし、記憶力が悪いからと言って、改善することを諦めてしまう人も多いと思います。
記憶力を高めるために必要なことは、運動です。
暗記力を高める場合にはジョギング、連想的な記憶を高めるには筋トレが効果的。
軽めの運動を1日30分程度をするだけで、記憶力は改善されていきます。
ですが、疲労を覚えるほどの激しい運動は逆効果となりますので、気を付けましょう。
このブログは、以下の書籍を参考に、自分の考えと経験を加えながら書いています。
1990年代の半ばに、ある研究チームが運動によって最も影響を受けやすい脳の部位を調べました。
マウスを使った実験ですが、運動後のマウスの脳を観察しました。
その結果、BDNFの生成量が多かった部位は「海馬」であることがわかりました。
運動が記憶力向上に影響を与えるのは、海馬に働きかけるためでした。
そして、運動以上に記憶力が高められるものはないと言うこともわかりました。
運動で記憶力が上がるのは海馬が成長するからですね
脳の大きさは、25歳ごろがピークで、その後、年齢とともに徐々に小さくなっていきます。
脳の細胞も一生涯作られますが、それよりも速いスピード(1日に約10万個)で死滅しています。
記憶中枢の海馬もまた、年齢とともに縮んでいき、1年で約1%ずつ小さくなります。
しかし、この縮むことに対して、運動は記憶力だけでなく脳全体の機能まで改善すると、研究でわかりました。
年と共に物覚えが悪くなるのはそのためですね
アメリカの研究チームが、120名の被験者を対象に、1年の間隔をあけて2回、MRIで脳をスキャンして海馬の大きさを測りました。
実験の前に、被験者たちは無作為に2つのグループに分けられ、異なるタイプの運動をするようになりました。
グループ1:持久系のトレーニング。週3回、40分を早足で歩く。
グループ2:心拍数が増えない軽いエクササイズ。ストレッチなど。
1年後、グループ1のほうが健康状態が改善していたのは研究チームの予想どおりでした。
そして、海馬は縮むどころか、成長して2%も大きくなっていたことがわかりました。
対してグループ2は、1.4%の縮みが見られました。
脳の肥料であるBDNFが、運動することで生成量が増え、海馬の成長を促したと考えられます。
脳の老化を防ぐためだけなら、早歩きでのウォーキングでも十分効果があります。
長期記憶と短期記憶も改善されるため、当然、勉強にも効果が表れます。
記憶中枢が大きくなるから、そりゃ学習効率は上がりますね
運動は、海馬の萎縮以外にも、遺伝子の老化まで食い止めます。
脳や身体のほかn細胞と同じく、海馬にも遺伝物質があります。
DNAと遺伝子は、あらゆる細胞に存在ています。
通常は、遺伝子は生涯変わりませんが、その活動内容は変化します。
マウスの脳細胞を観察すると、年をとるにつれて1つの遺伝子群の活動が変化していく様子をみられます。
その遺伝子は、脳細胞の成長や、細胞同士が互いにつながる働きを制御していますが、年と共に衰えます。
遺伝子の活動が少しずつ衰えるにつれ、海馬だけでなく、脳全体も老化していきます。
この老化を、運動によっても影響を与えることができるのです。
身体の内側から若返るのは運動がバツグン
記憶力の向上については、持久系のトレーニングを定期的に3カ月続けた場合、単語の暗記能力はかなり上がることがわかりました。
忍耐強く続ければ続けるほど、その効果も増大します。
どれだけ記憶力がよくなるかは、体力と比例しているとも言えます。
健康状態が良好な被験者は、記憶力も大幅に改善していました。
健康な人ほど、海馬も成長することを考えれば、合理的な結果と言えるでしょう。
実験によると、フィットネスバイクを漕ぐ健常なグループと、何もしなかったグループの2つに分け、記憶力のテストをしました。
実験前は、双方のグループには大差がありませんでした。
しかし、実験開始からいくらも経たないうちに、フィットネスバイクのグループは健康面でも記憶力の面でも、何もしないグループに優るようになりました。
6週間後に再度、記憶力テストを行ったところ、フィットネスバイクのグループの成績は何もしないグループに比べるととてもよかったと結果がでました。
運動で血流が良くなると、海馬の血流もよくなり、働きがよくなります。
それと同時に、記憶力も向上したというわけです。
記憶力だけなら、割とすぐに効果はでるんですね
運動をすると、記憶力はたちどころに改善します。
記憶力のテストで一番よい成績を挙げた被験者たちは、テスト直前に運動をしていました。
身体のコンディションが万全でなくても、運動をしていない被験者よりもよい成績を挙げたことがわかりました。
運動をすると、すぐに記憶力向上の効果は表れます。
もし、暗記力を最大限に上げたい場合は、運動と暗記を同時に行うといいでしょう。
ウォーキングしながら単語を暗記する等、二宮金次郎みたいな勉強方法がおすすめです。
運動と暗記を同時にすれば効果が上がる理由は、まだはっきりとわかっていないのが現状です。
血流を良くしながら勉強するんですね
テストのために単語を暗記する場合、運動しながら(あるいはしてから)暗記をすると、何もせずに暗器した人よりも、覚えられた単語が約20%増えたというデータがあります。
資格試験やテストが近づくと、運動は疎かにしてしまいがちですが、むしろ散歩に行くと思いもよらない恩恵を得られそうです。
運動は、軽いウォーキングやジョギングがいいでしょう。
しかし、疲労してしまうほどのランニングやサイクリングをすると、かえって逆効果になります。
疲れると、筋肉がさらに血液を必要と師、脳に流れる血流が減り、記憶する力も損なわれます。
身体に負担をかけすぎたら勉強どころではないんですね
「記憶」は、暗記したり文字を読んだり、行動を思い出したりするだけに留まりません。
テニスでフォアハンドの打ち方、ゴルフでクラブの振り方、ピアノで曲を演奏するといった動作も、記憶のメカニズムを通じて身に付きます(運動性記憶)。
動作の習得は、基本的に脳の細胞同士が新たにつながることを意味するので、運動をすれば別の動作も習得しやすくなります。
ここで、ある研究チームが、動作を習得するメカニズムに運動が与える影響について調査を行いました。
実験では、被験者にジョイスティックを操作してPCの画面上の一点の動きを追うゲームを行いました。
この実験でも、グループは2つに分けられます。
グループ1:ゲームをする前に、ランニングかサイクリングをし、休憩をはさんでから行う
グループ2:運動をせずに、ゲームを開始する
結果として、前もって運動をしたグループ1のほうが、操作がより上達していました。
グループ1は、1週間後が経過しても、その後、能力が落ちていたということもなかった。
運動による動作の習得効率が上がったのは、次のように推測されます。
新しく習得した技術を忘れることなく数日たっても覚えているためには、記憶に固定されていなくてはなりません。
つまり、短期記憶から長期記憶へと切り替える必要があります。
海馬は、記憶が単騎から長期へと切り替わる過程で大切な働きをしています。
運動をすると海馬の細胞がBDNFを分泌し、脳の細胞同士のつながりが強化されます。
そのため、何かを習得する前に運動をすれば、その記憶が単騎から長期へと切り替わる段階でBDNFが分泌されるはずです。
海馬でBDNFが増えることで、短期記憶は長期記憶に切り替えやすくなります。
ただし、短期記憶は何かを習得しても数分で長期記憶には変わらず、24時間以上はかかります。
運動の影響は、何かを習得してから1日後に現れるということです。
部活動のウォーミングアップでの軽いランニングは、合理的だったんですね
トライアスロンのような過酷な運動をした後の脳や記憶力への影響は、マイナス面のほうが多いと見解が出ているようです。
アメリカの研究チームが、マウスを使った実験を行いました。
走ることが好きなマウスを交配を重ね、普通のマウスの3倍の距離を走れるマウスを生み出しました。
このマウスを迷路にいれ、ゴールまでの時間を計測しましたが、結果、普通のマウスよりも時間がかかりました。
記憶力が悪く、ストレスホルモンのコルチゾールの血中濃度も高かった。
コルチゾールは、運動した後で濃度が低下します。
しかし、実際には、マウスは慢性的にストレスにさらされている様子がみられました。
上記の実験が、人間にも当てはまるかは立証されていません。
とはいえ、脳が恩恵を得られる運動量には限りがあるかもしれません。
現段階では、運動がストレスとなる限界点がどのあたりかは解明されてなく、個人差もあることでしょう。
記憶力を上げるためだけなら、30分程度の軽い運動であれば十分です。
なんとなく、運動のしすぎは逆効果とわかりますね
疲れ切った体で新しいことを覚えるのは無理があるということ
昔は、脳細胞は大人になったら作られない、死んだ細胞は生き返らない、こんな話がよく出ていたそうです。
皮膚や傷口、血液でも細胞は作られますが、脳に限ってはありえないと考えられていました。
しかし、前述のとおり、脳細胞は増えていきますし、運動をすれば若返ることも可能です。
脳細胞だって生まれては死ぬの繰り返しですね
カリフォルニアの研究チームは、1990年代半ばにマウスを使った実験を行いました。
何もないケージの中に入れたマウスたちに、様々な器具(回し車、トンネルなど。遊具に近い)を入れ、豊かな環境で生活できるようにしました。
環境が変わったことで新しい体験をした結果、マウスの脳内で細胞同士のつながりが増えていました。
そして、新しい細胞もたくさん生まれており、これにより海馬も部分的に成長しました。
ほんの数週間で、15%ほど増えていたことがわかりました。
これは、マウスが若かったわけでなく、年老いたマウスを使っても、同じ結果が出ました。
さらに、これらのマウスの記憶力を確かめるため、隠れた足場を探さないと溺れるプールに入れたところ、「豊かな環境」で暮らしたマウスは、何もしないマウスに比べより早く足場を見つけられるようになっていました。
ようは、記憶力がよくなっていたということです。
マウスでも新しい環境で成長するってことですね
先ほどのマウスの実験では、マウスは器具で遊んでいたことより、器具で運動をしていたことに注目したほうがよいでしょう。
マウスの脳細胞が増えたのは、新しい環境ではなく、運動をすることで得られたものだと、著者は言っています。
人間も同様で、脳細胞を増やすには、新しい環境に身を置くことよりも、ランニングを習慣づけるほうが大切です。
研究者によると、死亡したドナーの海馬の細胞を調べたところ、成人しても人間の脳では毎日ずっと、新しい細胞が作られていることもわかりました。
脳細胞をつくる働きが損なわれれば、気持ちが落ち込み、うつ病、記憶力低下が起こります。
逆に、身体を活発に動かせば、脳細胞の申請は2倍に増えます。
健全な精神をキープする意味でも、運動の効果はより強力です。
人間もマウスも、脳は絶えず成長するってことですね
脳細胞の新生を促すのは、運動だけでなく、刺激的な(新しい)環境も、重要な要素です。
新しい細胞がどのくらい増えるかは、どのくらい生まれるかだけでなく、どのくらい保持できるかにもかかっています。
脳の生まれたての細胞は極めて弱く、変化の乏しい環境だと2つのうち1つしか生き延びられません。
しかし、新しい細胞の殆どを生存させることは可能です。
マウスを豊かな環境に置くと、新しい細胞のおよそ80%が生存できることがわかっています。
運動野トレーニングによって脳細胞の申請が促され、刺激的な環境がその細胞の生存率を高める。
私たちの身体は、移動して新しい環境や出来事に出会うという生存環境に適応するために進化してきました。
脳は、新しい体験を記憶に刻むため、海馬に新しい細胞を作ります。
その細胞は、身体を動かすことで得た経験の刺激を受け手、生き延びるという仕組みです。
歩きながら学習すると言うのは、理に適っているってことですね
海馬は、記憶を短期記憶から長期記憶に切り替える役目を果たしますが、それ以外の仕事もあります。
物事を前後の流れの中でとらえたり、今、体験していることを過去の記憶と照合して感情を暴走させないようにしたりもします。
海馬はまた、自分の居場所を空間的に認識するという仕事も果たしています。
たとえば、今部屋の中にいるか、あるいは外にいるか、場所細胞と呼ばれる細胞がシグナルを発しています。
この場所細胞は、たった数センチ移動するだけでもシグナルを発動します。
海馬の役割をまとめると
- 短期記憶から長期記憶に切り替える
- 物事を前後の流れでとらえる
- 感情を制御する
- 空間把握能力を持つ
- 過去に訪れた場所を見つけ出す
このとおり、海馬の仕事は沢山あります。
そして、海馬は身体を動かすことによって最も恩恵を受ける部位でもあります。
運動をすると、海馬で新しい細胞が生まれる。
身体を動かすことで血流が増え、より多くのエネルギーを得て海馬の機能がよくなる。
古い細胞が遺伝子レベルで若返る。
加齢による萎縮の信仰を防ぎ、逆に若返る。
運動を習慣づけることで、これほどまでにプラスの効果が働くのです。
運動は思考のスピードを上げられるのは、海馬のおかげなんですね
記憶は脳全体に転送されますが、保管される場所は記憶の種類によりことなります。
脳の場所 | 記憶場所 | 記憶の内容 |
前頭葉 | ワーキングメモリー | 一時的な記憶 |
海馬 | ワーキングメモリー | 場所の記憶 |
側頭葉 | エピソードメモリー | どんなことがあったか、何をしたか |
また、運動が影響を及ぼす脳の領域が、運動の種類でもことなります。
運動の種類 | 記憶 | 例 |
ランニング | 暗記能力 | 式や単語の記憶など |
筋力トレーニング | 連想記憶 | 顔と名前の一致など |
運動と記憶力の関係性を調べると、次の2つの結論にたどり着きます。
記憶力を高めるのであれば、何かしらの運動をすることで、種類は問いません。
あらゆる種類の記憶力を高めるのであれば、様々な運動、有酸素運動と筋トレの組み合わせで行うのがよい。
記憶力アップ=ランニング&筋トレがいいってことか
グーグルで認知トレーニングと検索すると、かなりの数がヒットします。
当然ですが、誰しも頭の働きをよくしたいと思いますし、短時間でできるのであれば尚更です。
最近では、スマホで脳トレのアプリもありますし、どこでも脳トレはできる環境です。
しかし、こういった認知トレーニングは、確かにゲームそのものは上達しますが、知能が高くなる、集中力や創造性が上がる、記憶力が向上したりといった効果はないことがわかっています。
クロスワードパズルでも同じで、パズルを解くのは得意になりますが、それ以上の効果はありません。
一方で、運動は根本的なところから鍛えられるので、認知能力を上げたいのであれば、運動が一番ということです。
脳トレは手法のみが上達してしまうんですね
繰り返しですが、運動を継続するのが最強です
脳にいい活動は、運動をすることです。
ウォーキング程度の軽めの運動でパフォーマンスを上げましょう!
運動脳のまとめです。
- 脳は25歳ごろをピークに縮み始める
- 運動で短期記憶と長期記憶の両方が鍛えられる
- 暗記力を上げるならウォーキングをしながら覚える
- 疲労を覚えるほどの運動は逆効果
- 軽めのジョギングを最初にやってから本格的トレーニングをやると習得しやすい
- 運動をすると脳細胞も活発化する
- 記憶中枢の海馬は運動による効果が最も大きい
- 筋トレで連想記憶が鍛えられる
- 脳トレでは脳は鍛えられず、解き方だけが鍛えられる
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