相手と話しているときに、「あれ、今何の話をしているんだっけ?」となることはよくあると思います。
これが友達と話すレベルならまだいいのですが、仕事でこれが起こると、結論も出ないまま時間だけが過ぎるという最悪の事態が発生します。
質問力を使って、これを乗り切る方法を紹介します。
この記事はこんな人におすすめ
- そもそも何について話しているのか、話している途中でわからなくなってくる
- 課題をしたいのに、いい結果(解決方法)が出ないことが多い。
相手の言い分は感情的にはわかるんだけど、話しがそれ以上進まないことが多いですね。
人は、感情と頭で納得したときに動き出すようですが、万事それでうまくいくとは限りませんからね。
↓文章を読み上げてくれます(.WAV)
裁判の話しになりますが、民事裁判というのは、対立する言い分がある当事者同士が、それぞれ自分の主張の正当性を立証しあう、するどい議論の場となります。
これまでの長い裁判の歴史の中で「どのような手続き経れば合理的に議論できるか」ということが研究されてきたようです。
なので、議論について考える際には、裁判の手続きを考えてみると、参考になる部分が多くあります。
その裁判の手続きの中に、「争点整理手続」というものがあります。(裁判所のHPは、重厚感を感じますね)
これは、お互いの主張の食い違いがどこにあるのか、どの点について証拠調べを行えばよいかを整理する手続きのことです。この手続きを行うことで、短い期間でも争点に集中した審理が行えます。
この争点整理手続きは、通常の議論でも応用ができます。
普段、仕事などで議論をするとき、往々にして争点が明確になっていないことがあります。それぞれが自分の意見を言い合うだけで、議論がかみ合わないのはそのためです。
会話も整理されず、生産的な議論になりません。これでは、よりよい結果を迎えることはできません。
民事裁判って、何カ月、何年も時間がかかるイメージがありますが、これでも短くなってるんですね
民事訴訟の件数は直近では年間13~14万件とも言われています。それに対して弁護士の数は約4万です。
争点を整理して議論を短くしないと、ずるずると時間ばかりかかってしまいますので、頑張って短縮しているみたいですね。
争点を明確にするとは、双方の主張のどこが同じで、どこが異なっているのかをはっきりさせることです。
それには、相手の主張の内容をよく理解していなければなりません。相手の主張を理解しているから、自分との違いも明確になり、自分の主張の正しさを明らかにすることができます。
また、相手の主張の欠点について正すこともできます。
なので、議論をするときは、まずは「相手の主張を理解するための質問」をします。
特に明確にするのは、「主題」となる言葉の定義です。
たとえば、「ミスの責任の取り方」について議論をするのであれば、まず「ミス」「責任」という言葉について定義を明らかにし、共通の認識のもとに議論を進めなければなりません。
「そもそもミスとはなにか」「今回はミスになるのか」「誰のミスなのか」「今回の責任はなんなのか」等等、質問は色々と考えられます。
このようにして、主題について共通認識を持って初めて、議論の出発点に立つことができます。
質問により、相手が想定している言葉の定義を明らかにし、お互いの主張の対立点を明確にして議論を発展させることができます。
「議論に強い」というと、自分の主張を押し通す力が強いという印象を受けますが、実は相手の主張をどれだけ理解できるかが議論に強くなる第一歩なのです。
まさに、「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」といったところですね。
勝敗は別として、議論をするにはまず相手を理解する必要があるということですね。
孫子の兵法書は、2500年程前に発刊されましたが、現代でも通用することは多いです。
戦いで生きるか死ぬかの時代で生活した人が書いたものなので、気になる人は読んでみましょう。
人は誰かと話すとき、何気なく議論をしているときが多いです。
「長期投資よりも、短期投資で一気に稼ぐ方がいい」とか、「今日の晩ご飯は、ビュッフェよりも焼肉がいいのじゃないか」とか、こういうのも議論です。(日常の会話でそんなの意識しないよ、ということは一旦置いておきます)
ビジネスでも、「B to B(ビジネスからビジネスのこと。主に法人営業を指す) よりも B to C(ビジネスからコンシューマーのこと。つまり個人消費者への営業)にシフトしていくべきだ」というようなことも議論になります。
しかし、こうした主張に対して、すぐに反論を開始し、議論を始める前に、少し考えましょう。
議論すべき対象は明確になっているのか。お互いが異なる前提のもとに議論を始めようとしていないか。議論の前に、それを明確にしておきます。
人はみんな、異なった環境で生きています。
「こども」という言葉を聞いた時に、小学生くらいの子を想像する人もいますが、19歳などの未成年全般を想像する人もいます。
そのような異なった想定のもとでいきなり議論をしてもかみ合いません。
したがって、何か議論を開始しようとするときは、次の3つの質問を、自分と相手に投げかけてみましょう。
- その議論を行う必要はあるのか
- その議論の立て方で大丈夫か。細分化できないか。
- 定義が明確になっているか
議論の目的、プロセス、タイトルがはっきり決まっているかということですかね。
登山をするのに、テニスラケットを持っていくという、ちぐはぐなものになっていないか。ということを確認しましょう。
議論や会議をしていると、話しがあらぬ方向にいってしまい、当初の議題からかけ離れるということはままあります。
争点がどこにいってしまったのかわからなくなり、議論が堂々めぐり(同じところをグルグルと回っている)してしまい、全く結論が出ないこともあります。
こんな時に有効なのが、「そもそも」を指摘した質問です。
議論をしていると、どうしても相手の話した内容に引きずられ、脱線していくことがあります。そんなときは「そもそも今何の議論をしているんだっけ」と自問をすると、議論を本来の目的に引き戻すことができます。
さらに、議論を本来の目的に引き戻したときは、さらにそもそもを指摘した質問で、核心にせまります。
議論を始めた時に、相手の質問に全て答えていると、脱線しやすくなりますので、少しでも脱線したと感じたなら、相手にそもそも〇〇はどういうことだと思う?と質問を返してみるのもいいでしょう。
議論をする場合は、そもそも争点がわからなければ議論になりません。
互いの意見をぶつけ合うだけでは、そこから発展することはないです。なので、議論をするときは自分の主張と、相手の主張も理解することが大切です。争点を整理するためには、相手の主張を理解するための質問をするといいでしょう。
また、議論の目的、主題、プロセスが曖昧のままで始めると、話しがそれることがあります。しかし、相手によっては明確にしても話しがそれます。これはよくあることなのですが、もし話の脱線を感じたら、「そもそも」というところを自問自答して、相手にも投げかけてみましょう。こうすことで、元の道に戻ることができます。
仕事中では、議論は大切ですが、時間も大切です。無駄な議論をしないためにも、議論の必要性を考えたうえで議論をするようにしましょう。
ここからは、このシリーズのまとめページに飛びます。
随時更新していきます。
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