この記事はこんな人におすすめ
- 集中力はすごいと知っているが、その効果はどれほどのものなのか知りたい
- 意識的に集中できる状態(ゾーン状態)に入りたい
- 普段から考えることが止まらず、頭の中の整理がつかず落ち着かずに悩んでいる
集中力はとてつもなく偉大です
集中力というのは、大どんでん返しを繰り出したり、思いがけないほどの結果を生み出すなど、とてつもない力を秘めています。
ですが、現代では集中できる環境は少なく、また持続時間も長く続きません。
長く続く集中力を身につけるためには、日々の訓練と瞑想を繰り返すことで可能となります。
このブログは、以下の書籍を参考に、自分の考えと経験を加えながら書いています。
20世紀で最高のボクシングの試合の1つ「キンシャサの奇跡」はご存知でしょうか。
1974年に行われた、全盛期をすぎた元チャンピオンの「モハメド・アリ」VS現役無敗のチャンピオン「ジョージ・フォアマン」の試合です。
フォアマンの実力はホンモノで、この時点で世界最強と呼ばれていたほどで、それまでの対戦相手を全て、3ラウンドもかからずに倒していました。
対してアリは、スピードと体力以外にも武器がありました。
それは、心理戦術で優位に立つというものです。
試合の序盤で、アリはわざとロープに寄りかかり、相手のパンチを誘って腕でガードしていました。
無駄なパンチを打たせてフォアマンを疲れさせるためです。
第7ラウンドに入るころ、アリは疲れたフォアマンをからかい、挑発しました。
そして第8ラウンドで、アリは勝機をみつけ、それを逃しませんでした。
アリは強い左フックを放ち、直後強烈な右を入れ、疲労とイライラで弱っていたフォアマンはこれを受けマットに倒れました。
フォアマンはカウントナインで立ち上がったものの、レフェリーは試合続行不可能と判断し、ここでアリの勝利となりました。
心理戦術の達人であるモハメド・アリが、ノックアウト(K.O.)で勝利を収めるのは、ほとんどの人は予想していなかったそうです。
試合の時点では、たしかにフォアマンのほうが実力は上ですが、アリが巧みな心理作戦でフォアマンをいらだたせ、集中力を乱しました。
対戦相手のゾーン状態を引き離すことで、アリは自らの勝機を作り出し、大番狂わせを実現させました。
集中力を削いだだけで勝ったアリですが、スポーツ以外にもたったこれだけのことで結果が変わることは多くあります。
よく、オリンピック等の競技後の選手が「気持ちが入っていなかった」とインタビューで答えているのは、この集中力の状態のことを指します。
「フロー」状態(時間経過を忘れる、声をかけられても気が付かないくらい目の前の作業に集中する状態)になるために精神を鍛えるのは、肉体を鍛えるのと同じくらい大切です。
アスリートならだれでも知っていますが、たった1つの思考が、目の前のタスクを遂行する妨げにもなります。
フロー状態になると、無駄な思考は頭に入ってきません。
流れに乗って、最高の力を出しているだけです。
ただ単純に、目の前のことに集中し、それ以外のことはまったく考えていません。
集中していない状態って、確かに仕事が進まないですね
フロー状態が本来の仕事モードということですね
「フロー」という概念を提唱したのは、心理学者で、元シカゴ大学心理学部長のミハイ・チクセントミハイです。
チクセントミハイによると、フローとは「ある活動に完全に没頭し、ただその活動のためだけに動いている状態」です。
表現しがたい状態なのですが、彼はこう表現したそうです。
「自意識は完全に消滅し、時間はあっという間に流れる。全ての行動、動き、思考が自然に流れる。まるでジャズの即興のようだ。自分の全存在がその活動に入り込み、自分の能力をフルに発揮している」
この精神状態は「ゾーンに入る」と表現されることもあります。
フローは極度に集中力が高まった状態であり、目の前の状況に完全に入り込んでいます。
フロー状態になると、自分が自分で行っている活動の間に、壁は全く存在しません。
エゴ(自分で創作した自分についてのウソの物語)は置き去りにされ、意識的な思考も消えます。
自意識は完全に消えて集中した状態になります。
これを読んでいる皆様も、このフロー状態を経験したことがあるかと思います。
目の前のことに集中し、それ以外のことは全て忘れている状態です。
スポーツ、執筆、イラストを描く、音楽を作る、演劇を捜索する。
クリエイティブな活動に没頭していると、きづかないうちに何時間もたっていることがありますが、このことです。
柔道などの武術の世界でも、武術家は長年にわたる訓練によって完璧な動きを身につけます。
ある動きが繰り返されるたびに、脳に情報が蓄積され、筋肉が動きを覚えます。
最終的に、何も考えてなくても体が自然に動くようになりますが、これが、体が動きを知っている状態です。
パフォーマンスがピークの状態にあるアスリートは思考はしません。
ただ、直感に従って動くだけです。
体が自然に動く状態まで筋肉に記憶を宿らせることで、目の前のタスクに100%集中します。
練習の積み重ねは、ゾーン状態に入る下準備ということですね
いわゆる「経験値」というものですね。
ゾーンとはつまり、何も考えずにプレーできる状態です。
精神が静まり返り、邪魔な思考が消え去ると、自分が今している活動に完全に没頭することができます。
余計なことを考えずに集中する能力は、何らかの目的を達成するうえで欠かせない資質です。
余計なことを考えると集中力が失われ、目の前のタスクを完璧に遂行できなくなります。
たとえば、余計なことを考えながら本を読んでいる人は、ただページを眺めているだけです。
関係ない考えが次から次へと浮かんできて、本の内容は全く入ってきません。
目は文字を追っているかもしれませんが、頭は違います。
ページの最後まで内容を読んでも、ほとんど覚えていることはないでしょう。
現代に生きる私たちは、SNSを使って人と交流したり、ゲームやネットサーフィンをしたりする時間が増えているため、集中力の持続時間が短くなっています。
雑誌「ワイアード」(日本語訳もあります)創刊時の編集長で、インターネット文化に詳しいケヴィン・ケリーによると、現代は注意欠陥の時代とのことです。
会話はプレゼンテーションに変わり、対話はモノローグに変わり、私たちはもう、目の前にいる相手に全集中をすることはない時代になっています。
自分の呼吸にすら、自分の精神状態にすら、無頓着な状態です。
インターネットは便利ですが、膨大な量の選択肢を与えてくるので、私たちは、あれやこれやと見て、時間の大半を使っています。
結果、集中力の持続時間が短くなり、注意欠陥という悪い習慣が身についてしまいました。
ネットサーフィンをしているときの集中力は、わずか9秒しか持たないとも言われています。
アップルの創業者は故スティーブ・ジョブズですが、彼は自分の子どもにiPadを与えなかったと、ニューヨーク・タイムズ紙で載っていました。
その理由として「子どもに与えるテクノロジーを制限している」とのことです。
この考え方は、ジョブズだけでなく、同業者では同じ考えの人はたくさんいるそうです。
ネットやゲームの時間を厳しく制限しているのは、やりすぎの悪影響をよく熟知しているのでしょう。
中毒のような状態になると、現実世界から切り離され、人との交流がなくなり、頭ばかりが活発に動いている状態になります。
過活動の状態にある脳というのは、集中力も生産性も下がる傾向にあります。
それに加え、ストレスが大きくなり、抑うつ状態にもなりやすいです。
これは全て精神疾患の原因になり、全体的に生活の質は下がります。
精神をコントロールし、落ち着かせる能力は、とてつもなく重要です。
ゲームは会話しながらやると楽しいですけどね
時代の変化に合わせて遊びも変わりますが、方法まで考えることが大切です
精神を落ち着かせる方法は、BOLTスコアを伸ばすこと、瞑想すること、そして自分の精神の動きに自覚的になることです。
それ以外の方法はありません。
人類は数千年前から、瞑想という方法で騒がしい精神を落ち着かせてきました。
瞑想をすると、自分の思考や感情に対して自覚的になり、繰り返し浮かんでくる無駄な思考を減らすことができます。
どんなスポーツでも、直感的にプレーするには完全にゾーンに入る必要があります。
正しい動きが自然に生まれ、競技と選手が1つになる状態です。
直感的な知性にアクセスするためには、精神を静かにする方法を身につける必要があります。
直感的知性は、学ぶものではなく、経験するものです。
大きな変化や成功を実現したい人は、みんな直感的に知性にアクセスできます。
何の訓練をせずともできる人もいれば、訓練が必要な人もいます。
たとえば、スティーブ・ジョブズ氏は、直感的知性の持ち主だと思います。
彼は、インド人の直感について話しており、インドでは、合理的な分析に頼る欧米とは違い、直感で物事を決めることが多いそうです。
ジョブズ自身も、直感的な知性が大きな力があると信じたからこそ、iPhoneを始め、iPad、Macなどを生み出していきました。
プロの棋士や、ノーベル賞を受賞している人も、直感的に動いているかと考えられます。
一昔前までは、瞑想はあまりいいイメージはもたれていませんでしたが、今は科学的にメリットが証明されています。
海外の大企業の社員も「マインドフルネス」として取り組んでいる手法なので、現代ビジネスパーソンである私たちもライフスタイルの中に組み込んでもいいでしょう。
僕も勉強する前には、瞑想をしています
テスト前とか、瞑想をすると効果的にできますね
2014年、アメリカ海兵隊でマインドフルネス瞑想とレジリエンス(ストレス環境下からの回復)の関係について研究が行われました。
8つの歩兵部隊に所属する281人の兵士を被験者として、マインドフルネスについて20時間の授業を受け、8週間にわたって、毎日少なくとも30分マインドフルネス瞑想を実施します。
もう1つのグループは、マインドフルネスの指導を全く受けていません。
次に、両方のグループが実践訓練に参加しました。
「アメリカ精神医学ジャーナル」誌に発表された報告によると、マインドフルネス瞑想を実施したグループは、睡眠の質が上昇し、ストレスが減り、実践訓練後の心拍数と呼吸の回復が早かったそうです。
アメリカ海兵隊を対象にした他の研究によると、マインドフルネスの訓練を受けた兵士は、オリンピックアスリートと脳の働きが似ているといいます。
どちらも脳の恐怖を司る部位が小さくなっていました。
戦争、ビジネス、スポーツ、家庭生活でさえ、静かで、落ち着いて、集中力の高い精神は、いつでも優れた判断力を見せます。
ストレスの高い状況で正しい判断をしたいなら、100%集中力を発揮する必要があります。
脳の成長は、最近までは大人になると止まると思われていました。
しかし、ここ数年の研究で、マインドフルネス瞑想を行えば、大人になってからでも脳は変化することがわかっています。
これはアスリートだけでなく、不安や抑うつに苦しむ人にとっても同じです。
メンタルヘルスを自分でコントロールできるということです。
ハーバードやマサチューセッツ工科大学をはじめ、世界中の一流大学で教える神経学者たちが、瞑想をする人の脳の変化について研究しています。
目の前の瞬間に集中することには、脳を変える力があり、多くの部位がより活発に、効率的になります。
マインドフルネス瞑想を行うと、少なくとも脳の8つの部位で効率性が高まることがわかっています。
8つの部位の中には、眼窩前頭皮質や海馬もあり、どちらも集中力、ポジティブな感情、感情の落ち着きなどを司る部位です。
瞑想最強説きたか!?
長い人生、少しくらい瞑想を取り入れてみてはいかがでしょう?
瞑想をする人は、それ以外の人に比べてより幸せで、自分に満足し、集中力が乱されず、過去の経験から学ぶことができます。
どれも現代生活には欠かせない資質です。
マインドフルネスな状態になると、頭の中の声をよりはっきり意識できるようになります。
反射的な思考パターンを抜けだし、自信喪失という牢獄から外に出ることができます。
精神という牢獄に自分が閉じ込められているという自覚がなければ、そこから出ることはできません。
自分の思考の泥沼にはまるのは、集中力とパフォーマンスに大きな弊害になります。
この本の著者は、思考には2つのカテゴリーに分けられていると言っています。
①正しい行動を選び、人生で何事かを達成する「役に立つ思考」
②ただ同じ考えを繰り返しているだけの「邪魔な思考」
②は集中力を妨げ、ゾーンの入る障害になるだけの思考となります。
そして、思考は習慣であり、社会、教育、友人、家族などの影響(経験)で、思考の内容が決まります。
私たちは子どものころから、考えるのはいいことだと教えられてきました。
自分の頭で考え、鍛え、判断をしていくことは、たしかに学業などの分野では役に立ちます。
ですが、考える一方で、考えないこともまた同じくらい重要です。
例えば、寒い日に火があれば暖かいですが、日をコントロールできなくなると大惨事になります。思考も同じです。
これを読んでいる皆さまは、自分の思考をコントロールできるでしょうか。
ついつい、無駄なこと、余計なことを考えたりしていないでしょうか。
それでは、ここで1つテストをしてみましょう。
考えるのをやめて、次の思考が浮かぶまでの時間を計ります。
おそらく、5~10秒くらいで、余計なことをイメージしてしまうでしょう。
自分の精神をどれだけコントロールできるかは、考えるのをやめていられる時間で決まります。
この時間が長いほど、集中力も高いです。
思考のプロセスをコントロールできれば、見返りは大きいです。
思考を黙らせるには、少しの集中力と練習があればできます。
思考のコントロールをマスターすれば、健康と運動のパフォーマンスの両方を向上させることができます。
無我の境地というやつかしら?
私の場合は、何もない黒い空間をイメージすることで、考えない時間をつくっています。
部活でも訓練でも、日々体やメンタルを鍛えるのは、このフロー状態に入るためでもあります。
集中力を最大限発揮できた状態と、散漫とした状態では、結果は目に見えた違うのは言うまでもありません。
私も毎日瞑想をしていますが、精神や頭の中をリセットできるので、気持ちも落ち着きます。
特に、寝る前と朝起きた直後はおすすめです
呼吸法についてのまとめです。
- いくら鍛錬を積んでも、集中力を乱されれば結果はでない
- ゾーン状態は集中力を最大限発揮して、ハイパフォーマンスを出せる
- 現代は集中力の持続時間が短くされる環境になっている
- 瞑想を繰り返すことで、意識的にゾーンに入れる
- 瞑想は脳トレーニングになり、アンチエイジング効果にもつながる
- 邪魔な思考をやめて、役に立つ思考を繰り返し自分の精神をコントロールする
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随時更新していきます。
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